心臓手術後のビタミンCの効果 (SQ-71)
ビタミンCは様々な健康効果があります。もちろんインフルエンザを症状を緩和して早く治す役割は一番良く知られています。しかし免疫力を高める以外にもビタミンCはあなたの体に多くの効果があります。コラーゲン合成、組織修復、鉄分の適切な吸収、傷の治癒、骨、歯、目の健康を維持するためにビタミンCが必要です。
また
ビタミンCは強力な抗酸化剤で、酸化ストレスや炎症による症状について効果があります。BMC心血管疾患で発表された新しい研究は、これらの抗酸化効果が心臓手術後の患者の心房細動(不整脈)の危険性を減少させる原因となることを示しました。これは心臓手術後の心房細動の発症が、脳卒中リスクの増加、集中治療室や病院の長期入院、心臓発作、心不全、死亡などの深刻な合併症に関連していた発見です。
心臓の健康に関するビタミンCの効果については、すでに広く研究(そしてこれらの健康効果とメカニズムについては後述します)されています。しかし、まずは心房細動とは何か、そしてビタミンCが高リスクの患者の症状を防ぐのに、なぜ役に立つかを理解しましょう。
ビタミンCは心臓手術後の心房細動リスクを低くする
あなたの心臓には4つの部屋があります。上の2つ(右心房と左心房)と下の2つ(右心室と左心室)です。これらの部屋は体内に酸素を含んだ血液を送り出すために、相互に働きます。その働きを見てみましょう:
- 右心房は酸素が失われた血液を体から受け取り右心室に送ります。
- 右心室は酸素が失われた血液を肺に送り、肺は血液に酸素を供給します。
- 左心房は酸素が豊富な血液を肺から受け取り、左心室に送ります。
- 左心室は大量の酸素を含む血液を、大動脈によってから体に送ります。
- 循環している血液が酸素をすべて使い切ると、心臓の右心房にポンプで戻されます。そそしてこの循環を続けます。
健康な場合、心臓は一定のリズムで鼓動します。しかし、心房細動(AF)の場合は、上と下の部屋のリズムが不規則となり、速く不規則な鼓動となります。この症状が血栓、脳卒中、心不全、他の心臓関の合併症を引き起こします。そして心臓の動悸、息切れ、疲労などの症状がよく現れます。
AFの原因は?
心房細動のリスクは、老化によって増加しますが、高血圧、糖尿病、過去の心臓病、喫煙、肥満などの、多くのストレス状態がすべてAFの危険因子となります。さらに心臓手術によく発症します。
研究が発見したことは?
この体系的な調査の目的は、心臓出後のなどのAFを発症するリスクの高い患者において、心房細動(AF)を予防するビタミンCの役割を分析することでした。研究は、「
ビタミンCは米国以外の国で心臓手術後の心房細動を予防して、心臓手術患者の入院やICU期間を短縮する可能性がある」と結論付けました。[1]
ビタミンCは心臓手術にどのように役立ちますか?
研究は酸化ストレスと炎症が、手術後の心房細動の発症の重要なメカニズムであることを示しています。[2] フリーラジカルを取り除き、炎症を抑える強力な抗酸化剤として、
ビタミンCには大きな可能性があります。そしてそれが上述の研究の発見です
さらに、心臓手術は酸素不足(虚血)後に血流が心臓組織に回復する(再かん流)ときに発生する、急性虚血性や再かん流傷害に関連しています。組織へのさらなる損傷を防ぐために血流の早期回復が必要ですが、残念ながらこのプロセスはフリーラジカルの放出を引き起こし、酸化ストレスと炎症の原因となります。これは心臓手術患者の酸化ストレスと手術後AのAF発症における、ビタミンCの役割に別の次元を追加します。
別の2017年のメタ分析は、ビタミンC治療が手術後AFを大幅に炎症させることも示しています[3]。 しかし、この調査は心臓手術後のICU滞在期間や入院期間への関連性は認めませんでした。
2015年の研究もこれらの結果と一致しています。研究は、「
ビタミンCは手術後の24時間において入院とICU滞在期間を減少させて、一部の合併症を減少させる。炎症軽減による可能性がある。」と結論付けています。[4]
実際、ビタミンCは心臓の健康全体に効果があるという多くの証拠があり、その多くは強力な抗酸化物質と内皮機能を改善する能力によるものです。詳細を見てみましょう。
心血管の健康におけるビタミンC
- V抗酸化剤として機能するビタミンC:
フリーラジカルは動脈中のLDFコレステロールの酸化を引き起こします。研究は、この酸化コレステロールがプラーク形成の主要な原因であることを示しています。酸化コレステロール粒子は免疫系を刺激して、炎症反応の悪循環を引き起こして、最終的に動脈にプラークを蓄積させます。抗酸化剤として、ビタミンCはLDLコレステロールの酸化を抑制し、その結果アテローム性動脈硬化症、心臓発作、脳卒中のリスクを低減することができます。 - ビタミンCは内皮機能を改善する:
- コラーゲンは骨、皮膚、靭帯、神経、臓器、血管などのすべての結合組織に存在する最も豊富なタンパク質です。 これらの組織に強度、サポート、弾力性を与えます。ビタミンCは血管や内皮(血管の内層)を強く健康に保ち、コラーゲンの合成に不可欠な補因子として作用します。酸化LDLコレステロールや他の毒素が血管壁に浸透して保持されることで、炎症やぷラークの蓄積を促進するのを予防するために、健康で弾力性のある内皮が必要です。
- ビタミンCは血管内の一酸化窒素(NO)の利用可能性を高めます。[5] 内皮と心血管の健康に関して、一酸化窒素( NO)は非常に重要な役割を果たします。最も重要な役割は血管をリラックスさせ、動脈を通る血液や酸素の流れを増加させることです。これは血圧を下げるのに役立ちます。 - ビタミンCは2型糖尿病の症状を改善する
2型糖尿病の血糖値上昇は、小血管と大血管の両方にダメージを与え、血管系全体に非常に大きなダメージを与えます。これが糖尿病患者が心臓、目、腎臓の合併症の発症リスクが高い理由です。糖尿病患者の死亡または障害の主要な原因は、心血管疾患、末梢動脈疾患(プラーク沈着による脚の血管閉塞)と神経損傷です。 ビタミンCはどのように役立つでしょうか?2型糖尿病患者の血糖値と脂質数値を低下させ、関連する合併症リスクを軽減します。[6]
要約すると、ビタミンCは心臓を保護する多くのメカニズムで機能します:
- 動脈のプラーク形成の主要なステップであるLDLコレステロールの酸化を防ぎます。
- 動脈を健康で強くするコラーゲン合成を促進して、酸化ダメージを起こしづらくすることで、プラークの形成を防ぎます。
- 内皮機能を改善し動脈の血管をリラックスさせる一酸化窒素をより利用可能にします。これらすべてが心臓病の主要な危険因子である血圧の調整を助けます。
翻訳者: 千葉将臣
参考:
- Harri Hemilä, Timo Suonsyrjä. Vitamin C for preventing atrial fibrillation in high risk patients: a systematic review and meta-analysis. BMC Cardiovascular Disorders. 2017.
- AS Tahhan et al. Association between oxidative stress and atrial fibrillation. Heart Rhythm. 2017.
- X Hu et al. Efficacy and safety of vitamin C for atrial fibrillation after cardiac surgery: A meta-analysis with trial sequential analysis of randomized controlled trials. International Journal of Surgery. 2017.
- Sadeghpour et al. Impact of Vitamin C Supplementation on Post-Cardiac Surgery ICU and Hospital Length of Stay. Anesth Pain Med. 2015.
- Mortensen et al. Does vitamin C enhance nitric oxide bioavailability in a tetrahydrobiopterin-dependent manner? In vitro, in vivo and clinical studies. Nitic Oxide. 2014.
- Ardekani et al. Effect of vitamin C on blood glucose, serum lipids & serum insulin in type 2 diabetes patients. The Indian Journal & Medical Research. 2007
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