冬におけるビタミンD欠乏症 (SQ-49)
北半球では11月からビタミンDの冬が始まります。皮膚がビタミンDを産出するのに、十分な日光を浴びることができず、体内のビタミンDが非常に危険な数値になります。
研究は、高緯度に住む人たちの日光のビタミンが、特に冬季（10月から3月）に不足することを示しました。実際、ヨーロッパではビタミンD欠乏症が深刻な問題となっており、2016年の研究は、「ビタミンD欠乏症は、ヨーロッパ人にとって公衆衛生の点から対策が必要である」と結論づけました。[1]
ビタミンDは骨を構築し、健康な筋肉の働き（カルシウムとリンの吸収に必要）を維持するという役割で一般的に知られています。この数値が低いと、くる病（子供）、骨軟化症（大人）と骨粗鬆症の原因となります。しかし、今日、ビタミンDは多発性硬化症、クローン病、狼瘡および関節リウマチなどの自己免疫障害、一部のがんや感染症を引き起こすことが知られています。[2]
科学者は、北ヨーロッパのビタミンD欠乏症の高い発症率は、その地域の多発性硬化症、乳がん、大腸がん、前立腺がんなどの高い発生率を説明できると述べています。
実際、ビタミンDの低い数値と、自己免疫疾患、喘息、その他アレルギー、心臓病、糖尿病、がん、感染症、妊娠合併症、うつ病と認知力低下の関連性に対する調査が増加しています。[3]
さらに、子供の筋肉のけいれん、発作、やわらかく変形した骨で知られるくる病が、ヨーロッパでまた増加しています。研究者は、1930年代後半に根絶されたと思われたくる病の症状の大幅な拡大は、長い冬により日光を浴びる時間が減少していること（室内で過ごす時間の増加、外で遊ぶ時間の減少、日光を浴びすぎることで発生する皮膚がんの心配）に主な原因がある可能性があると恐れています。
冬の日光とビタミンD欠乏症の関係は？
もし太陽が輝いていて、あなたの皮膚が露出していれば必要なビタミンDが産出されますか？いいえ間違いです。
すべての日光がビタミンD合成を促すわけではありません。あなたの皮膚はUVB紫外線を浴びたときだけビタミンDを産出します。これは太陽が水平線より45度以上高いときにだけ利用できます。
太陽が45度以下になると、大気がほとんどのUVBを妨げます。これは南北37度より高い緯度の冬季に発生します。この要素がないと皮膚はビタミンDを産出できません。高緯度に住んでいる人たちにとって、秋や冬にビタミンDを産出するのに十分なUVBを得るのは不可能です。雲、ガラス、大気汚染もUVB紫外線を妨げます。
そのために、夏であっても朝や夕方は太陽が低く、午前10時前と午後3時以降は夏であっても日光を浴びることでビタミンDを十分に産出できません。（ヒント：あなたの影があなたの身長より高い場合は、太陽が低く、あなたの体が十分なビタミンDを産出できないことを意味します）。
北半球では、「ビタミンDの冬」が通常6ヶ月ほど続きます。この期間はUVB紫外線をほとんど浴びることができないので、北ヨーロッパや同じような緯度の人たちは、ビタミンD欠乏症のリスクを増加させます。例えば、ロンドンは北緯51度にあり、1年の内で6ヶ月間は十分なUVB紫外線を浴びることができません。デンマーク、アイスランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、ポーランドは、同様に高緯度の国々です。
しかし、緯度の問題以外にも日光の摂取量を減少させる要因があります:
- 長い勤務時間、室内で過ごす時間の増加
- 子供たちが外で遊ばず、電話やコンピューターで過ごす時間が増加
- 皮膚の廊下とがんに対する恐れから、日焼け止めや熱保護が増加
太陽を浴びすぎることによる危険を避けることは良いことです。しかし、全く日光を浴びなくなると、特に日光は自然にビタミンDを産出する最良の方法なので、深刻な健康問題を引き起こします。
ビタミンDは脂肪組織に貯蔵されますが、定期的に補給されないとすぐに足りなくなります。北半球における長期の冬の場合です。さらに、皮膚によるビタミンDの産出はある程度までと制限されています。それ以上浴びても意味がありません。そのため、夏の間にたくさん日光を浴びて、南の国で休みを過ごしても、ビタミンDサプリメントを摂取しない限り、「ビタミンDの冬」が来る前に無くなってしまいます、
冬の季節は風邪やインフルエンザなどの器官系の感染症と同義語です。おもしろいことに、新しい研究は、ビタミンDが免疫系が感染症や病気と闘うのに影響することを明らかにしました。ビタミンDが不足すると、風邪、インフルエンザ、喘鳴障害、喘息を引き起こします。[4][5] 冬の間に体の痛みや硬さを訴えることがありますが、これもビタミンD欠乏症の典型的な症状です。
冬の間は、日光が不足しUVBがないため、北ヨーロッパに住む人たちにとって、食品やビタミンDサプリメントを利用するのは賢い方法です。脂分の多い魚、昔ながらのタラの肝油、卵、キノコのを多く食べることは助けにはなりますが、冬の深刻なUVB不足によるビタミンD欠乏症を相殺するのには十分ではありません。
骨や筋肉の痛みを防ぐためだけではありません。高品質のサプリメントであなたの数値を高めることは、体全体の健康維持にとって重要なステップです。ビタミンDの免疫機能、感染症と病気を予防する役割は広く知られています。新しい研究は、カルシウムの代謝と強い骨を作ることを超えて、ほとんどすべての体の健康にビタミンDが影響しているという証拠を見つけ出しています。
もうすぐ冬が来ますが、あなたのビタミンD値をチェックしてみましょう。ヨーロッパや同じような緯度の国に住んでいる場合は特に重要です。もし「ビタミンDの冬」の地域に住んでいる場合は、リスクがあるかもしれません。
翻訳者: 千葉将臣
参考:
- KD Casmena et al. Vitamin D deficiency in Europe: pandemic? Am J Clin Nutr. 2016
- H Wang et al. Vitamin D and Chronic Diseases. Aging Dis. 2017
- http://www.well.ox.ac.uk/aug-10-vitamin-d-influences-over-200-genes. University of Oxford. The Wellcome Trust Centre for Human Genetics.
- Hooman Mirzakhani et al. Vitamin D and the development of allergic disease: how important is it? Clin Exp Allergy. 2015.
- Martineau et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory tract infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ, 2017
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