喘息におけるビタミンD (SQ-66)
喘息は肺の慢性的な病気で、気道に炎症や狭窄を引き起こします。世界中の3億人以上の人たちに影響を与え、この呼吸器疾患は、喘鳴、咳、胸部圧迫および息切れの再発を引き起こします。これらの症状は、軽度から重度のフレア・アップ(悪化すると緊急の医療処置が必要となる)の範囲があります。
残念ながら喘息の治療法はありません。従来の治療方法は重度の発作からの一時的な回復と、症状の悪化を防ぎ、将来の喘息発作の発生頻度を減らすことに焦点を置いています。
ビタミンD値と喘息の関連性
ビタミンD値が低下すると、喘息やアレルギーのリスクを増加させるでしょうか?長い間多くの研究が、ビタミンD不足と喘息発作、肺機能の低下、薬への依存の増加、大人と子供の両方への悪影響に対する関連性を調査してきました。
この20141年の研究は、子供において、「ビタミンD欠乏症は喘息、アレルギー性鼻炎、喘鳴との強い関連性があった」ことを明らかにしました。[1]
さらに妊婦のビタミンD欠乏症は、生後1年の幼児の呼吸器感染症のリスクを高め、喘息、喘鳴、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギーの発症リスクも高めます。
ビタミンDを摂取すると喘息発作のリスクを軽減できますか?
2015年の再調査は、肺の発達と免疫系におけるビタミンDの影響を強調しており、喘息、湿疹、食物アレルギーのような重度のアレルギー症状の発症において大きな原因となる可能性を示しています。[2]
ビタミンDは次のような様々なメカニズムによって重度の喘息やアレルギーを軽減させる可能性があります:
- 自然免疫と適応免疫に対する規制効果
- 風邪やインフルエンザなど、喘息症状を悪化させる可能性のある呼吸器感染症の予防
- 炎症の軽減
- 肺機能、発達と成長への影響
研究は、従来の喘息治療に合わせてビタミンDサプリメントを摂取すると、症状の管理を助け、喘息発作の頻度を軽減することさえあることを示しています。軽度から中等度の喘息の参加者を含む臨床試験の2016年のレビューでは、ビタミンDサプリメントを摂取による以下の効果が判明しました: [3]
- コルチコステロイド治療が必要な症状の悪化の減少
- 緊急対応または入院が必要な喘息発作のリスクの減少
科学者は抗炎症と免疫調整効果によってビタミンDサプリメントが効果をもたらすと考えていますが、なぜ重度の喘息発作においてビタミンDサプリメントが効果があるかを判断できませんでした。またこの方法がすべての喘息患者に効果があるのか、それともビタミンD欠乏症の患者にだけ効果があるのかを明らかにできませんでした。研究者は通常の喘息の薬の服用を止めないように警告しています。
最近の2017年のランダム化比較試験の再調査は次のことを発見しました: [4]
- ビタミンDサプリメントは、患者の重度の喘息発作を引き起こす風邪やインフルエンザなどの急性呼吸器感染症を予防する。この方法はビタミンD欠乏症の患者にすばらしい効果がある。
- 毎日、毎週のサプリメントは効果がある
研究者はビタミンDが呼吸器感染から保護する一つのメカニズムは、肺の抗菌タンパク質の産生を増加せるためであると考えています。これらのタンパク質は体内の天然抗生物質として働きます。
過去に、他の研究は妊娠中にビタミンDの摂取量を増やすと、再発性の幼児期に喘鳴、喘息、食物アレルギーのリスクを軽減する可能性も証明しました。[5][6][7]
結論
喘息発作の 発症と症状の重さについて、ビタミンDの正確な関連性を示すにはより多くの研究と証拠が必要なことは事実です。そしれこれらの再発性の症状を軽減させるのに必要な適切なビタミンD値についてもまだ十分に解明されていません。
しかし、これまでの証拠はビタミンDが喘息を安全に、効果的に管理し、再発性を防ぐことを明らかに示しています。従来の薬を完全に止めることは推奨されていませんが、全体の治療方法にビタミンDサプリメントを加えることは、喘息患者にさまざまな利点をもたらす可能性があります。
栄養補助サプリメントを摂取する場合には常に医師にご相談ください。特に症状が長期に渡る場合や処方箋を服用している場合は注意が必要です。
翻訳者: 千葉将臣
参考:
- Bener et al. The impact of Vitamin D deficiency on asthma, allergic rhinitis and wheezing in children: An emerging public health problem. J Family Community Med. 2014
- Hooman Mirzakhani et al. Vitamin D and the development of allergic disease: how important is it? Clin Exp Allergy. 2015.
- Martineau et al. Vitamin D for the management of asthma. Cochrane Library. 2016.
- Martineau et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory tract infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ, 2017
- Camargo CA Jr1, Rifas-Shiman SL, Litonjua AA, Rich-Edwards JW, Weiss ST, Gold DR, Kleinman K, Gillman MW. Maternal intake of vitamin D during pregnancy and risk of recurrent wheeze in children at 3 y of age. Am J Clin Nutr. 2007 Mar;85(3):788-95.
- Devereux G1, Litonjua AA, Turner SW, Craig LC, McNeill G, Martindale S, Helms PJ, Seaton A, Weiss ST. Maternal vitamin D intake during pregnancy and early childhood wheezing. Am J Clin Nutr. 2007 Mar;85(3):853-9.
- Finkel et al. Adequate Vitamin D3 Supplementation During Pregnancy: Decreasing the Prevalence of Asthma and Food Allergies. Matern Pediatr Nutr. 2015; 2(1): 105.
免責事項
当社のウェブサイト、ブログ、電子メール上の情報は情報提供のみを目的として提供されており、EMA、EFSA、または FDA による評価は受けていません。 これは、医療専門家が提供する医学的アドバイスに代わるものではなく、また、病気の診断、治療、治癒、予防を目的としたものでもありません。 当社の製品は18歳以上の成人を対象としています。 ここで言及したビタミンやサプリメントにはさまざまな健康上の利点があることが示されていますが、サプリメントや食事の変更は、専門的な医療の代替としてではなく、全体的な健康計画の一部として考慮されるべきであることを覚えておくことが重要です。 資格のある医療従事者のみが、個人の健康上のニーズや病歴に基づいて個別のアドバイスや治療計画を提供できます。妊娠中または授乳中の場合は、製品を摂取する前に医療専門家にアドバイスを求める必要があります。