なぜグルタチオンはデトックスに重要なのか? (SQ-81)
グルタチオンはその超強力な抗酸化力で知られています。病気にならないよう、体全体の健康を保つために必要な単純分子であり、しばしばマスター抗酸化物質とも呼ばれています。これは免疫系の正常な機能にも不可欠で、健康的なグルタチオン値の維持が、炎症や早期老化、慢性疾患を防ぐカギであることを証明する科学的根拠もあります。
さらにグルタチオンは、体内の毒素除去の大部分を担っています。このブログでは、グルタチオンがどのようにして体内のデトックスシステムの礎石となるのか、また、加齢、慢性感染症、ストレス、毒素など、多くの要因によって低下してしまうグルタチオンを、健康的な数値で維持するためには何ができるのかについてご紹介したいと思います。
グルタチオンとは?
グルタチオンは、システイン、グリシン、グルタミンの三つのアミノ酸から成るポリペプチドです。体内のすべての細胞はグルタチオンを生産し、内因性の抗酸化物質に変換させます。(対して、外因性の抗酸化物質は食物またはサプリメントから摂取する必要があります。)
マスター抗酸化物質 グルタチオン
グルタチオンはチオール基(SH)を含んでおり、化学基を含むこの硫黄こそが抗酸化力とデトックス力の秘訣です。
「グルタチオンは様々な酵素反応における補酵素(コエンザイム)です。これらの反応で最も重要なものは、レダックス反応(酸化還元反応。細胞膜のシステイン部分のチオール基が過酸化を防ぐ)、および結合反応(特に肝臓内において有毒化学物質とグルタチオンが結合し、解毒する)です。 また、赤血球・白血球の形成、および免疫系全体においてもグルタチオンは重要です。」 [1]
抗酸化物質は余分な分子をフリーラジカルに提供することで機能します。フリーラジカルとは、不対もしくは欠けた電子を持つ、非常に不安定な反応性酸素分子です。これらの不正な分子は、あらゆる内的・外的要因によって作られます。例えば、ミトコンドリアが細胞用のエネルギーを作り出すために燃料と酸素を燃やすときや、体が毒素を排除するときなど、多くの細胞プロセスにおいて不正な分子は自然に作られます。ストレス、感染症、薬、抗生物質、(食物・水・化粧品に含まれる化学物質といった)環境毒素などに連続的にさらされた場合に、フリーラジカルは生成されます。
これらの不安定な分子は、自身を安定化させるために、ミトコンドリア、脂質、DNAといった近くに存在する細胞組織から電子を奪います。奪われた電子はこれらの危険な分子の化学構造を変更し、免疫系から不要な炎症反応を引き起こし、組織と器官の機能を損ないます。これを酸化損傷と呼びます。抗酸化物質として、グルタチオンはこの酸化ストレスから細胞とその成分を保護します。
グルタチオンが重要な抗酸化物質とされる理由は、非常に多くあります。グルタチオンは体が独自に生成し、利用された後には自身を再び活性化させるだけでなく、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、αリポ酸といった重要な抗酸化物質の再活性化を促進します。これは、グルタチオンがそれ自体でフリーラジカル除去するだけでなく、他の抗酸化物質が自身の電子を提供しフリーラジカルになった後で、それらのリサイクル・再活性化にも役立つことを意味します。ここで最も大事なことは、グルタチオンは細胞内に存在しており、あらゆる種類の酸化ストレスから細胞を守るという重要な機能を担っているということです。
デトックスのプロセスにおけるグルタチオン
体内には、すべての酵素、タンパク質、抗酸化物質、栄養素の助けを借りて、様々な経路を通じて機能するデトックスシステムが組み込まれています。このデトックスのプロセスは三つのフェーズを経て行われます。
フェーズⅠでは、シトクロムP450と呼ばれる酵素の集まりが、グルタチオン、ビタミンB12、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンC、バイオフラボノイドといった多くの栄養素とともに、有害な脂溶性毒素をより害の少ない物質へと変換させます。さらにこのプロセスで、非常に反応しやすいフリーラジカルを生成し、それらはビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、CoQ10、亜鉛、セレン、グルタチオンといった抗酸化物質によって中和されます。
フェーズⅡでは、この害の低くなった化学物質が、グルタチオン、硫酸塩およびグリシンを含む様々な分子の助けを借りて、フェーズⅡ酵素(グルタチオントランスフェラーゼ)によってさらに中和されます。具体的には、これらの分子は(フェーズⅡで代謝した)中間毒素と結合し、それらを水溶性に変換させます。これは結合経路と呼ばれ、体が毒素を除去しやすいようにします。
フェーズⅢにおいて、水溶性あるいは結合毒素は胆汁または尿へと送られ、腸、腎臓、皮膚を通って排出されます。
グルタチオンは体のすべての細胞に存在していますが、肝細胞ではその濃度は遥かに高くなります。肝臓は体の主要なデトックス機能をつかさどっており、代謝老廃物、ホルモン、薬、アルコール、その他の化学物質を分解し、細胞や組織、器官を損傷することなく、(腸、腎臓、皮膚を通って)体から排泄しやすいよう水溶性に形を変えるという、非常に重要な役割を担っています。またグルタチオンは、肝臓で行われる自然なデトックス作用において、多くの重要な機能を果たしています。
- フェーズⅠにおいて肝臓を酸化損傷から守る
- 毒素と結合してより水に溶けやすくすることで、排泄を容易にする。グルタチオンは、フリーラジカル、薬、化学物質、重金属(水銀、カドミウム、鉛など)といった毒素に付着する性質がある。
さらに、肝臓でデトックスを行うために、必要なすべての栄養素・抗酸化物質のサポートを体が受けられる状態にしておくことが重要です。
理想通りの世界であれば、毒素除去のプロセスもスムーズにいくことでしょう。しかし有害な化学物質に常にさらされてしまう環境では、時間の経過とともにデトックスシステムに過剰な負荷がかかってしまい、代謝老廃物や毒素の中和、除去ができなくなってしまいます。これによって細胞内に毒素が増え、やがて、活力の低下や身体の過度なストレス、フリーラジカルの生産増加へとつながり、あらゆる症状や疾患を引き起こします。
お腹の張りや便秘などの消化異常、免疫系の低下、継続的な疲労、筋肉痛・関節痛、頻繁な頭痛、睡眠問題、ブレイン・フォグ(脳機能の低下)、皮膚アレルギー、鼻の疾患、目の下のクマ、体重増加などの症状は、体が毒素過剰に苦しんでいるときに出る兆候です。
その他のグルタチオンの重要な健康上のメリットは、以下を含みます。
- 免疫機能の強化[2] [3]
- 炎症の制御
- 重要な酵素反応の促進
- DNA合成および修復に重要な役割を果たす
- 赤血球・白血球の形成促進
- 細胞増殖・複製プロセスへの関与
- 放射線からの保護[4]
- エネルギーレベルの向上
- 皮膚状態の向上
グルタチオンの不足
グルタチオンはあなたの健康を総合的に維持し、病気から守るために極めて重要な役割を担っています。しかし残念ながら、歳を重ねるごとに体はグルタチオンを十分に生成しなくなり、フリーラジカルや毒素に対処することが困難になっていきます。不健康な食生活や薬物治療、重度のストレス、外傷、放射線、汚染、長期的な感染症、毒素などは、体内のグルタチオン値を著しく低下させます。
エイズ、関節炎、パーキンソン病、2型糖尿病、肝炎、心臓疾患、慢性腎臓疾患といった、慢性疾患に苦しむ人々は、この重要な抗酸化物質と解毒物質が不足していることが研究によって明らかになっています。
グルタチオン値を増加させるには?
- 硫黄が豊富に含まれている食品を食べる。 にんにく、玉ねぎ、リーキ(ニラネギ)や、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール、コラード、マスタードグリーン、大根、カブ、芽キャベツといったアブラナ科の野菜には、グルタチオンの自然生成に体が必要とする硫黄含有アミノ酸が高濃度に含まれています。
- 乳清タンパク質を消費する。グルタチオンを作るのに不可欠なシスチンやその他の原料の優れた供給源として、生物活性および非変性の乳清タンパク質を食事に組み込むのも、グルタチオン値を自然に増加させる一つの手段です。乳清タンパク質は、低温殺菌されておらず、低温処理されており、ホルモン、農薬、その他の化学薬品が含まれていないことを確認してください。
- グルタチオンの生成と再利用を助ける栄養素が豊富に含まれている食品を食べる。 これらの栄養素にはビタミンC、亜鉛、セレン、ビタミンE、マグネシウム、ビタミンB6、B9、B12、ビオチンなどが含まれます。
- グルタチオン生成の前駆物質として機能するサプリメントを摂取する。 これらのサプリメントにはN-アセチルシステイン、αリポ酸、マリアアザミ(ミルクシスル)などが含まれます。
- 健康的なライフスタイル。 定期的に運動して、ストレスレベルを最小限に抑え、夜は健康的な睡眠をとりましょう。さらに、一般的に化粧品、美容衛生商品、洗浄剤などに含まれている毒素との接触を減らすよう対策をしましょう。
グルタチオンのサプリメントの効果は ?
一般的なグルタチオンサプリメントは、グルタチオン値の上昇にはあまり効果がないという研究結果が出ています。これらのサプリメントは消化液と酵素によって分解され、バイオアベイラビリティの低下を引き起こします。
しかしながら、高品質のリポソームグルタチオンサプリメントを摂取することで、バイオアベイラビリティや吸収などの問題は解決されます。リポソームはリン脂質でできた小さな気泡で、栄養素(または薬)で満たすことができます。これらの球状構造は、カプセルに包まれた内容物を消化中に生じる分解から保護し、栄養素(ビタミンC、グルタチオン、CoQ10など)を直接細胞に供給して、吸収・活用両方の効用を高めます。
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション(臨床栄養学)で発表された2018年の研究では、GSH値(還元型グルタチオン値)向上におけるリポソームグルタチオンの効果についての調査が行われ、以下のように結論付けました。「総合的に判断し、これらの予備調査結果は、体内のGSH貯蔵能の向上、および免疫機能・酸化ストレス値への影響における、日々のリポソームGSH摂取の有効性を支持する。」[5]
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Glutathione. PubChem.
- T W Mak et al. Glutathione Primes T Cell Metabolism for Inflammation. Immunity. April 2017.
- Allen et al. Mechanisms of Control of Mycobacterium tuberculosis by NK Cells: Role of Glutathione. Front Immunol. 2015
- Anupam Chatterjee. Reduced Glutathione: A Radioprotector or a Modulator of DNA-Repair Activity? Nutrients. 2013
- Sinha et al. Oral supplementation with liposomal glutathione elevates body stores of glutathione and markers of immune function. Eur J Clin Nutr. 2018
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