冬に十分なビタミンDを摂取するには (SQ-91)
冬は免疫に援助が必要になる時期です。そして、食生活にビタミンCが豊富な食品やサプリメントを追加することで役立つと考えていらっしゃるなら、もちろん、あなたは正しいです。ですが、ビタミンDレベルを健康な範囲内に維持することの利益を考えたことはありますか?
頻発するインフルエンザ、気道感染症などの発作に対処しなければならないのは、暗い冬の季節にはよくあることで、気分の沈み、季節性情動障害、筋肉の強直や疲労などは言うまでもありません。ビタミンDは、これらの問題を乗り越え、冬場を楽に過ごすために、さまざまな形で役立つことができます。ビタミンDが役立つのは、骨の健康だけに留まりません。近年の調査によって、日照ビタミンの役割がますます明確になってきています。
ビタミンDは、食品からカルシウムとリンを吸収する手助けをするため、骨を健康に保つために必要であることは間違いありあせん。しかし、さらに感染症やアレルギーと戦い、自己免疫障害のリスクを防ぎ、健康な妊娠を維持し、加齢性黄斑変性のリスクを防ぐなど、この他数多くの効果のためにビタミンDは必要となります。暗くて寒い冬の季節に(住む地域によりますが)陽が少なかったり出なかったりすると、非常に大きな影響をおよぼしますが、ビタミンDは、あなたの精神的な健康を維持するためにも重要な役割を果たします。
ビタミンDはあなたが思う以上に、健康を維持する上で本当に大きな役割を担っているのです。ありがたいことに、しっかりと日光を浴びることでビタミンDは容易に生成することができます。しかし悲しいかな、近年私たちが日光を浴びる時間は減ってきており、ない日すらあります。そして、それが結果として世界中でビタミンD不足が起こっている主要原因の一つになっています。
では冬の間はどうなるのでしょうか?この季節はビタミンD不足になりやすいのでしょうか?冬に十分なビタミンDを摂取するにはどうしたらいいのでしょうか?この問題を考えてみましょう。
冬場のビタミンD
研究によると、ビタミンDレベルは季節によって変化し、冬季には低下する傾向にあります。 [1] また、高緯度地域に住む人々はビタミンDが低いことを示す多くの証拠があります。そして、この状況は10月から3月までの数か月で悪化します。この現象は「ビタミンDの冬」として知られており、北半球ではおよそ4〜6か月間続きます。
この間、以下のようなことが起こります。
- ビタミンDを作るために肌が日光を必要とする。
- しかし、ビタミンDを作るにはUVB(紫外線B波)の助けが必要。
- UVBは特定の時間に得ることができる。これは、太陽が地平線より45度以上高いときに起こる。
赤道の北緯または南緯37度以上にある地域では、冬の間は太陽が45度以下の日がほとんどです。赤道の近くだと、UVBはより強くより直接的になります。もしあなたが赤道近くにお住まいなら、太陽はほとんどの間、十分なUVBを簡単に吸収できる角度に位置しているでしょう。赤道から離れた場所にお住まいなら、健康なレベルのビタミンDを作るために、より長い時間太陽の下で過ごす必要があります。いわば、ビタミンDを作る時にとても小さな窓しかないということです。また、非常に寒いと外に出ないという別の問題もあり、この状況を悪化させます。さらに、雲、ガラス、オゾン問題、汚染などもまた、UVBの通過を妨げます。
あなたの影があなた自身よりも短い時に太陽に暴露することで、ビタミンDを作り出します。あなたの影があなた自身よりも長いと、太陽は45度よりも低いということですので、UVBが少ないため、ビタミンDを作る理想的な状況とは言えません。
北欧に住む人々は、特に冬季になると低ビタミンD状態になるリスクが増えます。もちろん、ビタミンD不足になる理由は数多くあります。最も重要なのは、大人も子供も屋外で過ごす時間がますます増えてきていることです。
長時間労働、皮膚ガンの恐怖、日焼け止めの使い過ぎ、スマートフォンの長時間使用などの責任を問う前に、そもそも私たちは、外に出て、明るく朗らかな太陽の光を感じようとしていないのではないのでしょうか。
残念ながら、太陽への暴露が少ないと、ビタミンD不足を引き起こすだけでなく、あなたの健康に影響を及ぼす多くの状態の要因となります。あなたの骨、ホルモンバランス、精神的・感情的健康、睡眠パターン、免疫などに悪影響を与えます。研究は、青年期に日光をより多く浴びている人は、近視になるリスクが減ることも示しています。 [2] [3] また、多くのケースで、日光はビタミンD生成の役割以上の健康効果を提供しています。例えばある研究で、紫外線は、有害な微生物を見つけ破壊する役割を持つ白血球である、T細胞の活性を増加させることが分かっています。 [4] T細胞はガン細胞さえも破壊することができます。
以下はビタミンDレベル不足を引き起こすその他の要因です。
- 加齢
- 腎臓および肝臓機能不全の方
- スタチン薬を使用している方(スタチンは肝臓のコレステロールの合成を妨害する。ビタミンDを作るにはコレステロールが必要)
- 浅黒い肌
- 徹底した菜食生活
- 健康的な日光への暴露を防ぐ衣類(職業や文化的要件が理由になり得る)
- 肥満
ビタミンD不足とマグネシウム
ビタミンDレベルを低下させるもう一つの重要な要因、それがマグネシウム不足です。マグネシウムはとても大切なミネラルで、ビタミンD同様、健康全体におけるその役割は、あまりよく知られていません。マグネシウムは、体内の何百もの生化学反応を促進するために必要となります。エネルギーを作り、カルシウムレベルを調節し、DNAを合成・修復し、グルタチオンを生成するためにマグネシウムが必要です。痛みを伴う筋けいれんを軽減するその役割はよく知られている一方で、不眠症、うつ病、不安、月経前症候群などを抱える人にとってもマグネシウムはとても役に立ちます。
言ってしまえば、ビタミンDを活用するためにも、マグネシウムが必要なわけです。残念ながら、ほとんどの医者はこのことをわざわざ伝えたりしません。彼らはビタミンD不足を解消するために大量のビタミンDを処方しますが、マグネシウムが健康なレベルにないとこのビタミンDを正しく使うことができない、ということは強調しないでしょう。カルシウムを吸収するためにビタミンDが、鉄分を吸収するためにビタミンCが必要であるのと同様、ビタミンDを吸収するためにマグネシウムが必要なのです。
体内の栄養素はこのようにして共に機能しており、協力し合って幅広い健康効果を生み出すために、あらゆるビタミン、ミネラル、抗酸化物質などを豊富に含んだ健康的でバランスの取れた食生活が重視されている理由は、ここにあります。
したがって、ビタミンDを作るために日光を使うにせよ、サプリメントを使うにせよ、マグネシウムがこのビタミンDをカルシトリオール(細胞が実際に使う形)へと変換するのです。次に、日照ビタミンの代謝に関わっているほぼすべての酵素は、機能するためにマグネシウムが必要です。いつも通り医者から大量のビタミンDサプリメントを処方され、マグネシウムが十分にない状態でそれを摂取したらどうなるのでしょうか?体は、骨や筋肉といった主にマグネシウムが蓄積されている組織から必要な分を抜き取るので、さらなるマグネシウム不足を引き起こします。その結果どうなるのか?筋けいれん、けいれん、狭心痛、不整脈といった症状を高い確率で経験します。これらはすべてマグネシウム不足の兆候です。
マグネシウム不足は、ビタミンDサプリメントを摂取しているにも関わらずビタミンDレベルが向上しない主な理由の一つであることを考慮しなければなりません。
ビタミンD不足と特定の障害リスク
低ビタミンDレベルの有名な副作用の一つが骨の脆弱化です。カルシウムを吸収するにはビタミンDが必要なため、これは火を見るよりも明らかです。低ビタミンDレベルは、子供にはくる病を、大人には骨粗しょう症を引き起こす可能性があり、弱く脆弱な骨につながります。その他には?
ビタミンD不足は、その他多くの健康問題と結びついています。低ビタミンDレベルは、多発性硬化症、関節リウマチ、狼瘡(ループス)、甲状腺障害および過敏性大腸症候群、特定のガン、糖尿病、アレルギー、喘息、喘鳴障害、感染症、心臓疾患、不良な妊娠転帰、うつ病、認知機能不全といった、さまざまな自己免疫障害リスクの増加と関連しています。
なぜでしょうか?研究は、体のほぼすべての細胞はビタミンD受容体を有していることを示しています。これらのビタミンD受容体は、ビタミンDによって活性すると、さまざまな遺伝子を調節します。例えば、ビタミンDは免疫細胞内の受容体を活性化し、それらは感染症や病気と闘う抗菌性タンパク質を生み出す遺伝子を刺激します。これは、ビタミンDが免疫を増幅させるメカニズムの一つです。同様に、腸、脳、心臓、骨、肺、甲状腺、その他の組織にもビタミンD受容体は存在しています。ビタミンDはこのようにして、健康における多様な役割を果たしています。
冬に十分なビタミンDを摂取するためのクイックガイド
血中のビタミンDを健康なレベルにするには、日光への暴露とサプリメントが最も良いソースであることは事実です。では食品だとどうでしょうか?鮭、マグロ、サバといった魚は食品の中では最もビタミンDを豊富に含んでいますが、日光とサプリメント無しでは健康なレベルを維持するまでに至りません。魚の肝油、卵黄、キノコ、チーズ、エビ、および牛乳、オレンジジュース、シリアルといった栄養強化食品も、食事に追加するにはよい食品です。しかし、食事だけでは十分なビタミンD量を摂取することはできないという事実は変わりません。そして、ビタミンDレベルを向上させるのに食品に頼るというのは間違っています。
(適切な時間帯に、適切な持続時間)日焼け止めなしで太陽の下に出る必要があります。さらに、特に冬の時期、また緯度の高い場所に住んでいる方は、ビタミンDサプリメントを摂取しなければなりません。日光を十分に受けられる場所に住んでいる方でも、ビタミンDのソースを広げるのが最善の方法です。
37度より高い緯度に住んでいますか?しっかりと日光を浴びることで、簡単に自然にビタミンDを作ることができます。日光の中を15分~20分間歩きましょう。(日中、ほとんどの場合朝10時~午後3時までの間が良いでしょう。繰り返しますが、日中影が最も短い時、ビタミンDを最も多く作り出しています。)しかし、しっかりと日光を浴びるとは、具体的にはどういうことでしょうか?
平均的に、週に3~4回、15分~20分間日光の中で過ごせば、十分な量のビタミンDを作ることができます。肌がほんの少しピンク色になったら、十分外に出た証拠です。それ以上だと、肌が浅黒くなったり、真っ赤に日焼けしてしまう可能性があります。ビタミンDを作るための日光への暴露時間は、あなたの肌の色にも寄ります。色白な方は太陽の下に10分間もいれば十分でしょう。しかし肌が浅黒い色方は、ビタミンDを作るために太陽の下に30分かそれ以上留まる必要があるかもしれません。
そして先ほども述べたように、時間帯も問題になってきます。体内でビタミンDを作るためにはUVBが必要となり、この種類の日光は一日の内特定の時間帯にしか浴びることができません。また、もしあなたが皮膚ガンの病歴や、皮膚ガンの発症リスクがある場合、日光への暴露は避けた方が良いでしょう。この場合、サプリメントの摂取がビタミンD不足を避けるための最善の方法でしょう。
しかし、陽が短く、十分な日光がない状態で、どうやって必要なビタミンDを摂取すればいいのでしょうか?ビタミンDレベルを維持し、憂鬱な冬をやっつけるには、高品質のリポソームビタミンDサプリメントの摂取が最善の方法です。マグネシウムは、カルシウムレベルおよびビタミンDレベルの調節に役立ちますので、こちらの摂取量も増やすことを忘れずに。
また、大量のビタミンDが含まれていようといまいと、バランスの取れた、多様な食生活の力は侮らないでください。多脂魚、卵、キノコなどの食品は、一定量のビタミンDを提供するだけでなく(いつだって、ないよりあった方がいいですからね)、あなたの健康全体に必要なさまざまなビタミンやミネラルが豊富に含まれています。それが、夏であろうと冬であろうと。
ところで、最近ビタミンDレベルのチェック、しましたか?
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Kroll et al. Temporal Relationship between Vitamin D Status and Parathyroid Hormone in the United States. PLoS One. 2015.
- K.M Williams et al. Association Between Myopia, Ultraviolet B Radiation Exposure, Serum Vitamin D Concentrations, and Genetic Polymorphisms in Vitamin D Metabolic Pathways in a Multicountry European Study. JAMA Ophthalmol. 2017
- Tideman et al. Low serum vitamin D is associated with axial length and risk of myopia in young children. Eur J Epidemiol. 2016
- Phan et al. Intrinsic Photosensitivity Enhances Motility of T Lymphocytes. Scientific Reports. Article number: 39479. 2016
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