レスベラトロールと加齢 (SQ-104)
サプリメントやスムージーからスキンケア製品まで、抗酸化物質はますますその存在感を示してきています。抗酸化物質が豊富に含まれているとする、新たな「スーパーフード」の登場を耳にすることがあると思います。
コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、リコピン、ベータカロチン、(マスター抗酸化物質と呼ばれる)グルタチオンは、おなじみの抗酸化物質であり、慢性疾患を予防し、炎症を抑え、加齢と闘うそれらの効果は幅広く研究されています。そして言うまでもなく、抗酸化物質は肌をいつまでもみずみずしくしなやかに保つのに役立ちます。
この素晴らしい抗酸化物質の世界において、レスベラトロールも同様にそのアンチエイジング(老化防止)特性が支持されています。これこそが永遠の若さの秘訣なのでしょうか?少し大げさな言い方になるかもしれませんが、複数の研究が、レスベラトロールには健康を回復させ、元気で健やかな生活を促進し得る独自の特性があると示唆しています。
レスベラトロールは実際に若返らせる、または老化を遅らせることができるのでしょうか?詳しく見てみましょう。
レスベラトロールは永遠の若さの秘訣?
レスベラトロールはポリフェノールの一種で、ブドウの皮、ベリー類、ピーナッツ、ダークチョコレートなどに含まれています。
真菌感染、紫外線照射への過度の暴露、栄養素不足などに応じて、複数の植物によって自然に生成されるものです。このポリフェノールは、植物の生存維持およびストレスの多い状況下での損傷修復を促します。
複数の研究は、レスベラトロールは人に対しても同様の健康効果を与える可能性があると示唆しています。では、レスベラトロールはアンチエイジング抗酸化物質としてどのように役立つのでしょうか?これは、早期細胞老化におけるフリーラジカルの役割、およびレスベラトロールなどの抗酸化物質がいかにしてフリーラジカルによる酸化損傷を防止・修復するのかに要約されます。
1. 抗酸化サポート
やがて誰もが老いていきます。若い時のように器官も機能しなくなり、免疫の弱化や慢性疾患の発症などを引き起こします。老化の仕組みや理由に対して多くの理論が存在する中で、「老化のフリーラジカル説」は有力な学説となっています。
フリーラジカルは非常に不安定な構造をしており、細胞や組織に損傷を与えることで知られています。フリーラジカルから逃れることはできないのです。このトラブルメイカーは、体が食べ物をエネルギーに変えたり、病原菌と闘ったりする際に自然に生成されます。なんと、危険な微生物を一掃するために私たちの免疫細胞が強力なフリーラジカルを生成しているのです。またフリーラジカルは、細胞が互いに伝達し合い、その環境を感知し、それに応じて反応することにおいて重要な役割を果たしています。さらに、フリーラジカルは短期的なストレスの中で心臓を効率的に機能させます。
しかし、過度の喫煙や飲酒、薬物の使用、または汚染物質、農薬、重金属などへの暴露、加工食品の消費、薬や抗生物質の過剰摂取などでも、フリーラジカルは生成されます。長引く情緒的・身体的なストレスも体内にフリーラジカルを作り出します。
これらフリーラジカルは構造的に不安定な分子であるため、過剰な生成は危険です。これらは一つ以上の不対電子を有しています。これによってフリーラジカルは非常に敏感になり、安定のために「余分な分子」を求めるようになります。近くの細胞に反応し、電子を奪い取ります。これは酸化と呼ばれており、「攻撃された」細胞を不安定にするプロセスです。
したがってフリーラジカルは、電子を奪って化学構造と機能を変化させてしまうことで、細胞および細胞膜、脂質、酵素、ミトコンドリア、DNAに酸化損傷を引き起こしてしまうのです。細胞への酸化損傷は組織と器官の機能に影響を与え、不要な免疫反応や炎症をもたらします。そして老化および慢性疾患もすぐ後に続きます。
複数の研究が、酸化損傷と早期老化を伴う炎症、および関節炎、心血管疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、2型糖尿病、インスリン抵抗性、白内障、あらゆる種類の自己免疫障害といった多くの変性疾患の発症を強く関連付けています。
抗酸化物質として、レスベラトロールはフリーラジカルによって誘発された酸化ストレスの予防、抑制、修復において体が非常に必要としているサポートを与えます。
またレスベラトロールは、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンレダクターゼといった細胞内の抗酸化レベルを維持します。これはミトコンドリアおよび組織をフリーラジカルの損傷効果から保護するのに役立ちます。
これだけではありません。レスベラトロールは体にあることをするのですが、これが他の抗酸化物質とは一線を画すのです。複数の研究は、レスベラトロールは数ある酵素のサーチュインファミリーの一つであるSIRT1を活性化すると示唆しています。サーチュインとは何でしょうか?健康や加齢においてサーチュインはどんな役割を担っているのでしょうか?一緒に見ていきましょう。
2. レスベラトロールは(サーチュインの一つである)SIRT1を活性化する
ではまずカロリー制限についてお話ししましょう。それがレスベラトロールとサーチュインとなんの関係があるのか?と思うかもしれません。レスベラトロールが活性化する経路は、カロリー制限によって活性化するものと同じであると考えられており、その結果アンチエイジング効果を生み出すのです。
アーユルヴェーダなどの古代医療では、食事の量を減らすことで健康を維持し、長生きすることができると言われています。現代の研究でも、カロリー制限(重要な栄養素を維持しつつ食の摂取を減らすこと)は寿命を伸ばし、酸化損傷を減少させることを示唆しています。 [1]
では、どう機能するのでしょうか?カロリー制限は、フリーラジカルの形成を減らすことで酸化損傷を減少させます。さらに、例えば断食などをしてカロリーを低く摂取することで、サーチュイン(様々な細胞活動を調節する酵素ファミリーの一つ)は活性化されます。これが、カロリー制限が老化を遅らせる重要なメカニズムの一つです。
以下はサーチュインに関して知っておくべき項目です。
- SIRT2またはサイレント・インフォメーション・レギュレーター2タンパク質とも呼ばれている。
- 哺乳類においてサーチュインファミリーは7つのタンパク質(SIRT1からSIRT7)で構成されている。
- サーチュインは細胞をストレスから保護し、ストレスや栄養不足に対する細胞の反応に影響を与える。これらの酵素は、ストレス下における細胞の生存方法、エネルギー生成、炎症、酸化ストレス、免疫機能、DNA修復、代謝といったプロセスに関与する遺伝子を調節する。これらすべてのプロセスは老化と関連している。
サーチュインを活性化できる物質は、炎症を抑制し、老化と関連している慢性疾患を治療、管理する新たな機会を与えてくれます。そして、レスベラトロールはここに当てはまります。 複数の研究は、レスベラトロールは長寿と関連しているサーチュインファミリーの一つであるSIRT1を活性化すると示唆しています。(断食もSIRT1の活動を増加させます。)
2018年に行われた再調査で以下のことが判明しました。レスベラトロールといったポリフェノールのアンチエイジング効果は「複数の関連メカニズムによる可能性があり、それらの中には酸化ストレスの予防、SIRT1の活性化、炎症の調節などが含まれる。」 [2]
さらに、SIRT1を活性化することで、レスベラトロールはミトコンドリア(食事をエネルギーに変換する、全細胞内に存在する細胞小器官)の健康および濃度を維持します。ミトコンドリアは細胞の原動力としても知られており、その他の重要な機能も果たします。老化および疾患においては、酸化損傷同様、ミトコンドリア機能不全も重要な役割を担っています。
レスベラトロールはミトコンドリアの数を増やし、さらに活性化します。レスベラトロールは新しいミトコンドリアの生成を促し、ミトコンドリアの酸化損傷を制限することで炎症負担を軽減するため、健康全体および老化パターンに大きな影響を与えます。老化したミトコンドリアは、エネルギーを生成する際にフリーラジカルの痕跡を多く残します。一方、若く健康なミトコンドリアは(まるで新しいエンジンのように)、老廃物を最小限に抑えてクリーンなエネルギーを生成することにおいて、より効率的です。 これは、レスベラトロールのアンチエイジング効果に寄与するもう一つの要因です。
サーチュインを活性化し、酸化損傷を制限することで、レスベラトロールは2型糖尿病、肥満、アルツハイマー病、心臓疾患といった老化と関連する症状の管理にも役立ちます。
この分野における最近の調査では、レスベラトロールは以下に役立つことが分かっています。
- インスリン感受性を向上させ、血糖値を下げることで、2型糖尿病を管理する [3]
- メタボリックシンドローム(代謝症候群)および関連する症状の治療 [4]
- 2型糖尿病患者の動脈壁硬化を軽減 [5]
- 2型糖尿病患者の認知症の進行を遅らせる
- アルツハイマー病のリスクを軽減
- LDL(悪玉)コレステロールの酸化を予防、炎症を抑制、内皮機能を向上させることで、心臓疾患および脳卒中のリスクを軽減する。
レスベラトロールは内皮における一酸化窒素(NO)の可用性を向上させ、これにより血管が広がり、脳や心臓といった器官や組織への血流を向上させます。そして最近の調査では、レスベラトロールがインスリン抵抗性を持つ人の血管を広げ、骨格筋への血流を向上させることが示されています。これにより、体内のグルコース(ブドウ糖)のより良い供給と活用が可能になります。 [6]
最近行われた無作為比較対照試験の報告では、レスベラトロールが体内の炎症マーカーを軽減することがわかり、以下のように結論しています。「レスベラトロールの補給はTNF-α(腫瘍壊死因子)およびhs-CRP(高感度C-反応性タンパク質)のレベルを著しく下げる。炎症マーカーの著しい改善は、レスベラトロールが代謝性疾患の薬物治療の補助剤として利用できることを裏付けている。」 [7]
3. レスベラトロールは老化細胞を若返らせる
BMCセル・バイオロジー(細胞生物学)で発表された研究では、レスベラトロールは古く老化した細胞を若返らせることができると示されています。 [8]
歳を取るにつれ、古く傷ついた細胞は組織に蓄積されていきます。老化細胞と呼ばれるこれらの細胞は、分裂することも機能することもできません。老化細胞は体内に低度の慢性炎症を引き起こします。
老化細胞はそれらの遺伝子の調節ができないのです。これが、歳を取るにつれて体が損傷や病気にどんどん弱くなっていく原因の一つです。 遺伝子には新しい細胞を作り出す設計図が含まれています。これはメッセンジャーRNAの助けを借りることで起こります。スプライシング因子と呼ばれる、遺伝子の働きを助長し、メッセンジャーRNAを作る特別なタンパク質があるのです。しかしこれらの「メッセンジャーRNAスプライシング因子」は、加齢に伴って徐々に減少していきます。すなわち、細胞分裂に必要な伝令RNAを作る能力を細胞は失ってしまうということです。加齢に伴うスプライシング因子レベルの減少は、老化と疾患に関連しています。
研究者は、レスベラトロールの使用で老化した細胞のスプライシング因子が再度機能したことを確認しました。RNAスプライシング因子もまた、テロメア(末端小粒)を修復し、老化した細胞内のテロメアの長さを復元するのに役立ちます。
要約すると以下のようになります。
細胞が分裂する能力を失う理由の一つに、テロメア不足があります。テロメアは各DNA鎖の末端にあるチップです。これらの主な役割は、細胞分裂の最中に重要な遺伝子情報の喪失を防ぐことです。細胞が分裂する時、書き換えられるのはテロメアであり、メインのDNAではありません。もしテロメアがなければDNAはその断片を失い、遺伝子の設計図は壊れてしまいます。これらの保護チップはDNA配列と同じ長さを有しているため、テロメアの喪失は問題ではないのです。
したがってテロメアは細胞が分裂する度に短くなっていき、やがて機能しなくなります。この時点で細胞は、分裂、増殖、機能、または若返る能力を失っているのです。このように、テロメアが徐々に失われることで細胞は老化していきます。
研究チームは、年齢と共に減少するスプライシング因子を機能させることで、老化細胞がリセットされ、若い細胞のように反応し始め、分裂する能力が復活することを発見しました。(加齢と共に書き換えられてきた)そのテロメアは、新しい細胞のように長くなります。
レスベラトロールが古くなり機能しなくなった細胞をどのようにして若返らせるのか、その詳しいメカニズムはまだはっきりと解明されていません。しかし、以下に挙げるレスベラトロールの効果による可能性があります。
- 老化細胞におけるスプライシング因子のレベルを向上させる。
- テロメアの長さを増やすことで、さらに長く複製することができるようになる。
研究は以下のように結論しています。「これは、スプライシング因子レベルの低下がヒトの一次線維芽細胞における細胞の老化と関連していることを示す、最初の証拠である。したがって、このような対象の小分子モジュレータは、有望な新しい抗変性治療を示し得るものである。」
考慮すべき点は?
レスベラトロール
- 細胞、ミトコンドリア、膜、DNAへの酸化損傷を軽減する。
- 新しいミトコンドリアの生成を誘発し、エネルギーレベルを向上し、細胞の酸化ストレスを軽減する。
- 炎症、酸化損傷、代謝などに関与する様々な遺伝子を調節するタンパク質である、SIRT1(サーチュイン1)を活性化する。
- 老化した細胞を若返らせ、分裂する能力を復活させる。
これらすべてのメカニズムによってレスベラトロールは、早期老化の効果を減少し、炎症を減少し、細胞エネルギーを向上し、さらに体内の代謝のバランスを維持するツールとなり、これによって病気や機能障害の負担を減らして健康な生活を取り戻します。
赤ワインにはレスベラトロールが含まれています。しかし、求めている健康効果を得るには大量に摂取する必要があります。多量のワインやアルコールの摂取は、様々な面で健康を損なう恐れがあります。グラス一杯のワインならば悪いことはなく、むしろ心臓の健康に効果があるかもしれませんが、保健専門家は過剰摂取を警告しています。レスベラトロールサプリメントの摂取は、抗酸化物質、およびこの素晴らしい自然の恵みによる健康増進効果を得るのに、遥かに良い方法と言えるでしょう。
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Redman et al. Metabolic Slowing and Reduced Oxidative Damage with Sustained Caloric Restriction Support the Rate of Living and Oxidative Damage Theories of Aging. Cell Metabolism. 2018
- Sarubbo et al. Effects of Resveratrol and other Polyphenols on Sirt1: Relevance to Brain Function During Aging. Curr Neuropharmacol. 2018
- Zhu et al. Effects of resveratrol on glucose control and insulin sensitivity in subjects with type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis. Nutr Metab (Lond). 2017
- Chaplin et al. Resveratrol, Metabolic Syndrome, and Gut Microbiota. Nutrients. 2018
- Can the antioxidant resveratrol reduce artery stiffness in diabetics? American Heart Association. 2017.
- Wong et al. Resveratrol Counteracts Insulin Resistance-Potential Role of the Circulation. Nutrients. 2018
- Koushki et al. Effect of Resveratrol Supplementation on Inflammatory Markers: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Clin Ther. 2018
- E Latorre et al. Small molecule modulation of splicing factor expression is associated with rescue from cellular senescence. BMC Cell Biology. 2017
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