炎症と闘う5つのサプリメント (SQ-109)
転んだら足首が腫れた?切り傷の周りが赤く腫れている?鼻水が出て眼が痒い?これらは免疫系が治癒のために活動をしている印です。
関節に慢性的な痛みがあり腫れている?体のどこかが不定期に痛みなかなか治らない?リーキーガット症候群?これらは体が持続的な炎症状態にあることを示す徴候で、組織全体に損傷を引き起こします。進行中の炎症は、心臓疾患、糖尿病、関節炎、乾癬、過敏性大腸症候群、肥満、インスリン抵抗性、がんといった、重い症状を誘発する可能性があります。
炎症とは何でしょうか?なぜ治すべきなのでしょうか?栄養サプリメントは役に立つのでしょうか?炎症と闘い、慢性疾患リスクを下げるために何ができるのでしょうか?
炎症とは何か?なぜ悪いものなのか?
炎症とは、体が治癒し、自身を保護するためのプロセスです。足首を捻挫したり、ウイルスや細菌が体を攻撃した時、自身を治癒、回復するために、体内でたちまち変化が起こります。要因を取り除き、元気になるために必要なことを行うのです。
血管が拡張を始め、血液や酸素が怪我をした部分に多くの行き届くようになります。免疫系は、病原菌を見つけて破壊する細胞を多く集めます。特定の免疫細胞は、その他の免疫細胞、タンパク質、ホルモンを呼び出して活性化するサイトカインなどの化学物質を放出します。
これらの慌ただしい動きはすべて、怪我を素早く治し、感染症の拡大予防に役立ちます。同時に怪我を負った部分が腫れる、痛む、赤くなる、熱を帯びるなどします。場合によっては損傷部分を動かせないこともありますが、これは痛みや損傷の悪化を予防します。これらは急性炎症の徴候で、怪我が治る、または要因が破壊されると消失します。
しかしこれらの要因が消えないことがあり、これによって免疫系が正しく機能しなくなります。体を守るための行動をとり続け、さらなる免疫細胞を集め、さらなる化学物質を放出します。そしてこれが止まらない状況に陥ってしまうのです。終わることのない免疫系の反応は、やがて細胞と組織に不要な損傷を与え、自己免疫障害までをももたらします。関節痛、リーキーガット症候群、糖分の不均衡、肥満、心臓疾患、過敏性腸症候群などはすべて慢性炎症に起因し得ます。
何が慢性炎症を引き起こすのか?
炎症は老化のプロセスの一部です。年齢を重ねると慢性的な軽度の炎症が起こり始め、通常加齢と関連している病気の要因になります。これは加齢性疾患に対する免疫代謝の観点で、「インフラメイジング」(加齢に伴う炎症)と呼ばれています。
事実、これは双方向に影響を及ぼします。ほとんどの慢性疾患は、老化および炎症の結果として発症します。またこれらの病気は、炎症の要因、および老化プロセスを早める要因にもなります。
体内に炎症を引き起こす要因を手短に見てみましょう。
- 不健康な食生活(精糖、植物油、加工食品)
- 毒素、化学物質、重金属への暴露
- ストレス
- 慢性感染症および慢性疾患
- 運動不足
炎症の徴候は何か?
慢性炎症を確認するにはどうすればいいのでしょうか?全身性炎症の徴候は急性炎症のものとは異なり、目に見えたり、目立つものではない場合があります。しかし以下は注意すべき危険信号です。
- 筋肉痛や脱力感
- 関節痛や腫れ
- リーキーガット症候群や消化器の不調(膨満感、ガスがたまる、便秘、下痢)
- 高血糖値
- 特にお腹周りの体重増加
- 持続する疲労
- 睡眠障害
- うつ病や不安感
- ブレイン・フォグ(脳機能の低下)
- 鼻水、眼の痒み、皮膚発疹など、持続するアレルギー症状
- 風邪や病気が頻繁に再発する
- 乾癬、湿疹、痤瘡などの肌の問題
- 甲状腺、狼瘡(ループス)、白斑などの自己免疫障害
炎症を軽減するために何ができるか?
炎症を増加させる最も重要な要素の一つが「不健康な生活習慣」です。これは、睡眠不足、加工食品の食べ過ぎ、毒素や強い化学物質への過度の暴露などを含む総称です。
慢性的な感染症や疾患も体にさらなる炎症ストレスを与えます。複数の研究によって、糖尿病、肥満、心臓疾患、甲状腺、がんなどを患っている方は、体の炎症性化学物質レベルが増加していることが示されました。
生活習慣や食生活をすぐに変えることで、炎症の抑制に大いに効果をもたらします。これらの変化は、体が自身を治癒する能力をサポートし、毒素を効率的に除去することができ、炎症経路を調節し、さらに多くの健康状態のリスクを軽減できます。
- トランス脂肪を完全に排除
- キャノーラ油、サフラワー油、大豆油といった加工度の高い植物油を避ける
- 精糖、人工甘味料を控える
- 精製度の高い加工炭水化物を避ける
- 禁煙する
- 野菜や果物を多く食べる
- くるみ、カシュー、ブラジルナッツ、ピーナッツ、ペカン、アーモンドなどのナッツ類の摂取を増やす
- 適度に運動をし、活発に行動する
- よく眠り、ストレスを減らす
- 十分に水分を取り毒素を除去する
- 腸を癒す
- 慢性的な症状の治療をする
慢性炎症および結果として生じる痛みは、生活の質に影響を与えることがあります。もう一度健康を取り戻すために、これらすべてが必要な場合もあります。
サプリメントで抗炎症サポートを得る
正しいサプリメントを摂取することで、効果的に炎症を軽減することができます。特定のサプリメントには高い抗酸化特性および抗炎症特性があり、これは既に炎症性症状に苦しんでいる人には素晴らしい効果があります。
1. クルクミン
香辛料のウコンに含まれている生物活性化合物の一つであるクルクミンは、痛みや炎症の軽減においてとてつもない可能性を秘めています。複数の研究によって、クルクミンが炎症、痛み、組織への損傷を引き起こす様々な酵素、タンパク質、分子の活性を防ぐことが示されています。
例えば、クルクミンはサイトカインの合成を防ぎます。また、酵素のシクロオキシゲナーゼ(COX)ファミリーの生成も抑制します。COX酵素は、炎症や痛みと強く関連している化学物質、プロスタグランジンを生成します。以前公開した記事、「いかにしてクルクミンは痛みを和らげるのか?」では、一般的に非ステロイド性抗炎症薬や鎮痛剤によって引き起こされる不快な副作用なしに、クルクミンがいかにして痛みを軽減するかについて説明しています。
またクルクミンは、その他の炎症誘発性分子の体内放出を促すシグナリング分子である、核内因子カッパB(NF-κB)をもブロックします。NF-κBのシグナル経路は炎症を引き起こす主経路です。
調査では、関節炎患者の痛み・炎症の軽減においてクルクミンは市販薬や処方薬よりも効果があることが示されました。 [1]
クルクミンはそれ自体が強力な抗酸化物質であり、体内の抗酸化酵素レベルも向上させます。さらにクルクミンは安全で、非ステロイド性抗炎症薬のような重い副作用もありません。これらすべての特性により、クルクミンは炎症と闘う有望なサプリメントになるのです。
クルクミンの健康効果
- 内皮機能を向上させ、心臓疾患リスクを軽減
- 脳の炎症を軽減し、神経変性および認知機能の低下を遅らせる
- 関節炎患者における関節の痛みや腫れを緩和
- インスリン感受性を向上させ、2型糖尿病の発症リスクを軽減
- 前糖尿病段階から糖尿病発症へと進行するのを抑制する可能性がある
- 化学療法および放射線療法における効果的な補助薬として機能する
- 電離放射線への暴露によって引き起こされる損傷を軽減
2. オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸(n-3)は、ナッツ、多脂魚、魚油サプリメントに含まれる不飽和脂肪の一種です。これらの脂肪酸は炎症に関与する多くの側面を抑制します。
例えば、エイコサノイドやサイトカインといった炎症を引き起こす分子の形成を減らします。さらに体はこれらの脂肪酸を加工して、レゾルビン、プロテクチン、マレシンと呼ばれるシグナリング分子を作り出します。これらの分子は抗炎症で炎症の消散に役立ちます。[2]
健康的な炎症反応を維持するために、オメガ3とオメガ6のちょうどよい比率が必要です。オメガ6脂肪は、体内の炎症誘発性サイトカインと接着分子のレベルを増加させます。多くの人はオメガ6脂肪酸の過剰供給源である加工度の高い植物油を既に消費しており、炎症を引き起こす分子が有利に働く状態になっています。
アメリカ心臓協会は、心血管の健康をサポートするために多脂魚を最低でも週に2回食べるよう推奨しています。
オメガ3脂肪酸の健康効果
- 心臓の健康をサポートし、心臓発作リスクを軽減
- 健康的な脳機能をサポート
- アルツハイマー病、うつ病、認知症から保護
- 眼の健康を維持し、黄斑変性を予防
- インスリン抵抗性を下げる
- 子供のADHD(注意欠陥・多動性障害)症状を軽減
コレステロールレベルおよび血圧の低下に役立つオメガ3脂肪酸の豊富な源に、サチャインチオイルカプセルが挙げられます。
3. グルタチオン
グルタチオンは体自身で生成する最も強力な抗酸化物質の一つです。グルタチオンは、酸化損傷や炎症を引き起こすフリーラジカルを除去する、その強力な能力で知られています。グルタチオンは細胞内で自然に生成されるため、細胞とそのミトコンドリアをフリーラジカルが引き起こす損傷からいつでも保護することができます。
「マスター抗酸化物質」の名を欲しいままにする理由はこれだけではありません。その役目を終えて、もうフリーラジカルを中和することができなくなったその他の抗酸化物質に新たな息吹をも与えるのです。グルタチオンは、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAをリサイクルし、体の全抗酸化能力を強化します。
グルタチオンは体のデトックスメカニズムの大黒柱です。これは重金属、煙、アルコール、残留薬物などの老廃物・毒素を肝臓が除去する際の重要な成分の一つです。グルタチオンは毒素と結合しそれらを水溶性にします。これによって体が老廃物や毒素を体外へ排出しやすくなります。
グルタチオン不足はすなわち、細胞が効果的に酸化損傷から守られていないことを意味します。また、すべての毒素をうまく排出できない状態を意味しています。重金属、残留薬物、その他の有毒化学物質の蓄積は、体全体に酸化損傷や炎症を引き起こします。これは慢性疼痛、筋肉や関節の痛み、疲労、アレルギー、ホルモンの不均衡、免疫不全などをもたらします。
グルタチオンの健康効果
- 炎症と闘う
- DNAの合成と修復を促進
- 肝臓の毒素排除をサポート
- 免疫細胞の健康的な機能および活動を促進
- 皮膚状態の向上
- エネルギーレベルの増幅
年齢を重ねると、体は十分なグルタチオンを作り出さなくなります。一般的なサプリメントと異なり、リポソームグルタチオンサプリメントはその高吸収性およびバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)によって、レベル増幅において非常に効果があることが判明しています。
4. レスベラトロール
レスベラトロールはポリフェノールの一種で、その細胞老化を遅らせる役割で話題になっています。レスベラトロールはブドウ類、ベリー類、ピーナッツなどに含まれている強力な抗酸化物質です。また、体自身が生成する内因性抗酸化レベルを向上させます。これは、酸化ストレスや炎症を軽減させる重要な方法の一つです。
さらにレスベラトロールはサーチュインを活性化します。サーチュインは炎症、免疫機能、老化と関連しているその他多くのプロセスに関与する遺伝子を調節する、酵素の特別カテゴリーに分類されます。
複数のランダム化比較対照試験に関する最近のレビューでは、レスベラトロールがC反応性タンパク質(CRP)や腫瘍壊死因子のTNF-αなどの炎症マーカーレベルを下げることが判明しました。この特性で、レスベラトロールは代謝障害の管理に有用な補助薬となります。 [3]
レスベラトロールの健康効果
- 血糖値を下げる
- アルツハイマー病のリスクを軽減する
- 心臓疾患のリスクを軽減する
- 皮膚状態の向上
5. ビタミンD
ビタミンDは炎症を軽減することができ、これは免疫の調節において非常に重要な役割を果たすためです。自然免疫を増幅させ、様々な感染症と闘うのに役立ちます。これはビタミンDが天然抗生物質として機能するタンパク質の生成を促すためです。そしてこれはほんの一面にすぎません。ビタミンDは適応免疫をも調節し、慢性炎症や自己免疫障害をもたらしかねない、不適切で望ましくない反応を免疫系がするのを防ぎます。
ビタミンD不足は炎症から生じる症状と繋がっています。事実、保健専門家は、ビタミンDレベルの低下は、甲状腺や関節リウマチなど多くの自己免疫障害の発症に繋がるミッシングリンクであると考えています。
私たちは、ビタミンDサプリメントをビタミンK2とマグネシウムと併せて摂取することをお勧めします。
- マグネシウムが十分にある時のみ、細胞はビタミンDを使用、吸収することができる [4]
- ビタミンK2はカルシウムが必要な場所に届くのを助ける
- ビタミンK2は、血管やその他の軟組織といった好ましくない場所にカルシウムが蓄積されるのを防ぐ。これらの場所にカルシウムが蓄積されると、アテローム性動脈硬化症、心臓発作、動悸、狭心症、筋肉痛、腎臓結石、便秘などを引き起こすことがある。
ビタミンDの健康効果
- 心臓疾患のリスクを軽減
- 自己免疫疾患のリスクを下げる
- 喘息、気道感染症、アレルギーのリスクを軽減
- 睡眠、気分の改善
- インスリン感受性の向上
- 甲状腺の健康をサポート
これは、単純に錠剤を1粒2粒口に放り込めば良いということではありません。炎症を抑えるために、生活習慣や食生活を大きく変えていく努力を積極的にしていかなければなりません。健康的な食生活、定期的な運動、太陽の下に出ていく、十分な時間よく眠る、ストレスレベルを下げるなどは、体内の炎症負担を下げるために出来る重要なステップのほんの一部です。同時に腸の健康も維持しなければなりません。リーキーガット症候群は、健康を求めるうえで多くの人が見過ごしがちなとても重要な要素の一つです。
そして、これらのサプリメントを摂取してみる前に、医療専門家に相談をしましょう。ほとんどの栄養補助食品は安全で、重い副作用はありませんが、あなたがすでに摂取している薬や他のサプリメントに影響を及ぼす可能性があります。正しいサプリメント製品で補給をして、害を与える非ステロイド性抗炎症薬の代替品とする、もしくは少なくとも非ステロイド性抗炎症薬への依存を軽減できれば理想的です。
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Chandran et al. A randomized, pilot study to assess the efficacy and safety of curcumin in patients with active rheumatoid arthritis. Phytother Res. 2012
- Calder et al. Omega-3 fatty acids and inflammatory processes: from molecules to man. Biochem Soc Trans. 2017
- Koushki et al. Effect of Resveratrol Supplementation on Inflammatory Markers: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Clin Ther. 2018
- Uwitonze et al. Role of Magnesium in Vitamin D Activation and Function. The Journal of the American Osteopathic Association. 2018
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