喫煙者のためのクルクミン効果 (SQ-85)
タバコの煙には何千も化学物質が含まれています。これらの化学物質のほとんどが健康に危険をおよぼしますが、その内少なくとも70はガンを引き起こすことで知られています。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によると、喫煙は体の全器官に影響をおよぼし、あらゆる種類の慢性疾患リスクを増加させます。 [1]
- 肺ガンの発症リスク増加
- 慢性障害肺疾患(COPD)などの肺疾患を引き起こす
- 喘息発作を起こしたり、症状を悪化させる
- 心臓発作、高血圧、脳卒中リスクの増加
- 白内障、加齢に伴う黄斑変性リスクの増加
- 関節リウマチを引き起こす
- 感染症と闘う免疫系能力の低下
- 流産や早産のリスク増加
- 新生児の喘息、耳感染、乳児突然死症候群リスクの増加
ほとんどの人はこれらのリスクを認識しています。また、禁煙は深刻な健康問題のリスクを大幅に軽減し、生活の質を向上させることも知っています。しかしながら、行動に移すことはそう簡単ではありません。不安やイラつきといった強い禁断症状は禁煙のプロセスを非常に難しいものにし、再度喫煙する可能性を高めます。タバコの煙の主な成分の一つである、ニコチンにその原因があります。ニコチンは即効性の薬物で、数秒で脳に達し報酬回路を刺激します。喫煙の常習化はこのように起こります。
クルクミンは喫煙による損傷を軽減できるのか?
クルクミンは、その鎮痛特性および抗炎症特性で知られるインドの香辛料、ウコン(ターメリック)の主な生物活性化合物です。ウコン特有の鮮やかな黄色はクルクミンによるものです。インドの人々は何世紀にもわたってウコンを使用しています。食事に香りや味、色をつけるためにウコンは使用されます。またアーユルヴェーダ医学として、さまざまな健康状態の治療および管理にも使用されます。
- 風邪、発熱
- 消化器系の問題、潰瘍
- 肝機能および疾患
- 乾癬などの皮膚疾患
- 内傷および外傷の迅速な治癒
- 体内の毒素を除去
- 関節リウマチなど炎症症状
ウコンのこれらすべての健康効果は、クルクミンの抗酸化特性、抗炎症特性、鎮痛特性に起因すると考えられています。これらの特性は現代の科学的研究によって裏付けられており、クルクミンは関節リウマチ、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、神経変性疾患、ガンといったさまざまな慢性疾患、炎症性疾患に有用である可能性が示されています。
喫煙者にとってのクルクミン効果
タバコの煙によって引き起こされるすべての損傷を防ぐには、禁煙が最善の解決策であることは間違いありません。しかし、そう簡単に実行できないことを考慮すれば、体に必要な抗酸化サポートを与える他ありません。
喫煙によって体に放たれた化合物は、細胞、脂質、ミトコンドリア、DNA、タンパク質、酵素といった脆い成分に損傷を与える、フリーラジカルを作り出します。体内には、酸化損傷とある程度闘うことのできる抗酸化防御メカニズムが備わっています。しかし、フリーラジカルによる継続的な損傷はこの防御メカニズムをすぐに圧倒し、慢性炎症や多くの慢性疾患を発症してしまいます。 この段階において、体内を破壊し続けるフリーラジカルとその有害副生物に耐えるために、体はさらなる抗酸化物質の供給を必要とします。
ここで、クルクミンとその強力な抗酸化および抗炎症効果が喫煙者を守るのです。
1. 抗酸化および抗炎症保護作用
クルクミンは、タバコの煙に含まれる有毒化合物によって引き起こされる酸化損傷から肺を保護することができます。
抗酸化作用:喫煙を含むさまざまな外的および内的要因によって引き起こされるフリーラジカルは、脂質、DNA、タンパク質に酸化損傷を与えます。
クルクミンは抗酸化物質として機能し、体内にあらゆる種類の慢性炎症性疾患を引き起こす酸化ストレスの軽減に役立ちます。
- 異なる種類のフリーラジカルを破壊
- スーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH)、カタラーゼといった抗酸化酵素の活動を増加 [2] [3]
- 酸化損傷から細胞を保護するだけでなく、体内の毒素を除去に役立つマスター抗酸化物質、グルタチオンのレベル向上。(デトックスの段階でグルタチオンは非常に重要な役割を果たす。)
抗炎症剤作用:タバコの煙には、炎症の原因となる最も強力な経路の1つである、核内因子カッパB(NF-κB)経路を活性化することができる、フリーラジカルやその他の化合物が含まれています。核内因子カッパBの活性化は多くの慢性疾患、および多くのガンの早期発症と関連しています。
クルクミンは、タンパク質、酵素、転写因子、炎症を促進するサイトカインと呼ばれるシグナリング分子を抑制します。
- 炎症性酵素シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、リポキシゲナーゼ(LOX)の活性を低減
- 核内因子カッパB経路のさまざまな段階を阻止 [4]
以下は2017年の研究報告です。「クルクミンは、細胞増殖、侵入、および血管新生を阻止し、ガン細胞の生存期間を短くすることができる、という有力な証拠がある。クルクミンは、炎症性サイトカイン、転写因子、プロテインキナーゼ、および炎症と慢性疾患の発症を促進する酵素の低下調節を通じて、抗炎症効果を引き起こす。」 [5]。
2. 慢性障害肺疾患(COPD)のためのクルクミン
慢性障害肺疾患、またの名をCOPDは、進行性の炎症性肺疾患群です。慢性障害肺疾患は、肺の気道の閉塞を引き起こし、長引く咳、緑色の痰、喘鳴、胸の圧迫感などといった症状と併せて、呼吸困難になります。
慢性障害肺疾患は、徐々に肺機能が低下する呼吸器症状を引き起こし、炎症反応に対処しなかった場合は、死に至ることもあります。慢性障害肺疾患は、肺炎、肺ガン、心臓疾患の発症リスクをさらに増加することもあります。
慢性障害肺疾患は主に二つの種類があります。
- 慢性気管支炎: 肺から空気を出し入れする気管支(気道)の炎症および狭窄。気管支炎は粘液の蓄積を引き起こす。
- 肺気腫:この症状により、肺の小さな気嚢(肺胞)が損傷、拡大する。これらの気嚢はガス交換に関与している。肺気腫に影響を受けた肺には、大きな穴が空き、肺組織の弾力性が損なわれる。弱体化し損傷を受けた気嚢は、呼吸を困難にする。
喫煙は慢性障害肺疾患の主な要因です。慢性障害肺疾患の再発要因にもなります。慢性障害肺疾患と関連する炎症は、肺だけでなく循環にも流れ込み、血管などその他の器官にも影響することを示す証拠は多くあります。このような肺の状態の現喫煙者および元喫煙者は、肺ガン、心血管疾患、糖尿病などのリスクが高いことが、調査によって示されています。
残念ながら、慢性障害肺疾患は外用ステロイド薬などの抗炎症剤にはあまり反応しません。ステロイドは慢性障害肺疾患の管理によく推奨されますが、慢性障害肺疾患を持つ患者は、ステロイドに対する耐性ができる傾向にあります。ステロイドは基本的に、炎症を抑制するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)2と呼ばれる特定の酵素の活性に影響を与えます。しかし、慢性障害肺疾患や重い喘息を持つ患者は、酸化ストレスによってヒストンデアセチラーゼ2の活性や発現が軽減してしまいます。
肺を守り、慢性障害肺疾患とその症状を予防するのなら、禁煙が最善策であることは間違いありません。しかし喫煙は中毒性が非常に高く、止めることは簡単ではありません。したがって、慢性障害肺疾患の患者の炎症を軽減し、症状改善に役立つ、より良い、より効果的なアプローチが求められます。
クルクミンはここで役立つことができるのです。以下がその効果です。
- 炎症につながる酸化ストレスを軽減
- 炎症分子の生産および活動を制御することで、気道の炎症を軽減
- 慢性障害肺疾患や喘息の患者によくみられる、ステロイド耐性を改善。慢性障害肺疾患を持つ患者における、酸化損傷に影響を受ける酵素の活性および発現を改善することにより、クルクミンはこれを実現。 [6]
3. 肺を保護する
ベンゾ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる化学物質群に属しています。喫煙は肺ガンの主な原因であり、ベンゾ[a]ピレンはタバコの煙に含まれる、ガンを生み出す主要な物質の1つです。ベンゾ[a]ピレンへの曝露は、ガン発生に大きな役割を果たしていることで知られています。国際がん研究機関(IARC)はベンゾ[a]ピレンを発がん性物質グループ1に分類しています。
これは、炎症経路およびガン発生の中心的役割を果たすタンパク質、核内因子カッパBの活性によって、肺ガンを引き起こす可能性があります。ベンゾ[a]ピレンの代謝中に作られる副生物は、細胞に酸化ストレスを与える危険なフリーラジカルの要因となります。また、ベンゾ[a]ピレンの代謝物はDNAと結合してDNA損傷を引き起こし、遺伝子突然変異へとつながる可能性があります。ベンゾ[a]ピレンへの暴露中に引き起こされるこれらのメカニズムは、肺ガンの発症および進行において大きな役割を果たします。
クルクミンの効果に関して、研究は以下のように示しています。
- ベンゾ[a]ピレンの代謝時に発生する酸化損傷から細胞を守る。[7]
- ベンゾ[a]ピレンによって誘発されるDNA損傷を軽減 [8]
- 核内因子カッパBおよび肺ガン細胞の関連遺伝子の活性を抑制。これにより肺ガンの進行を防ぐ。 [9]
4. 膀胱ガン
タバコを吸う方は、膀胱ガンを発症するリスクが高いです。[10] タバコの煙から出る毒素は血流に入り込み、さまざまな器官に損傷を与えます。ガンを生み出す物質であるこれらの毒素は、尿を介して体内から排出されます。これにより膀胱が発がん性物質にさらされます。
煙の成分への長期暴露は、炎症経路を活性化することで知られており、ガンの発生および転移において中心的役割を果たします。クルクミンは膀胱内の煙に暴露した細胞において、これらの炎症経路を抑制することが研究で分かっています。[11]
その他のクルクミン健康効果
クルクミンの健康効果に関しては、多くの研究がなされてきています。そしてクルクミンが、酸化損傷や炎症が元となる多くの慢性症状に役立つことが分かっています。慢性炎症は、心血管疾患、神経変性疾患、関節炎、肥満、2型糖尿病、複数のガン発生の主な要因です。
クルクミンの効果に関して、研究は以下のように示しています。
- 心血管疾患リスクの軽減
- 閉経後女性の内皮機能を改善
- 2型糖尿病患者の血糖値を下げ、インスリン抵抗性を向上
- 糖尿病前症患者(高血糖値だが、糖尿病と診断するには不十分な方)の糖尿病発症を防ぐ。糖尿病前症患者は、本格的な糖尿病発症のリスクが高い。また、高い血糖値は血管を損傷し続けるため、心臓疾患や脳卒中のリスクも高い。
- 放射線被曝による損傷から守る
- 骨関節炎を持つ方の、痛み、関節可動性、生活の質を向上。
- 関節リウマチの痛みおよび関節腫脹管理に効果的であると証明。
- 脳細胞を破壊し、アルツハイマー病の症状を引き起こすアミロイドベータ・プラークの形成と凝集を阻止。
クルクミン吸収の問題
クルクミンは非常に多くの健康効果を備えており、さらに多量に摂取しても安全ですが、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)不良によって制限されてしまいます。簡単に体に吸収されないのです。研究では、ピペリン(黒コショウに含まれる有効成分)がクルクミンのバイオアベイラビリティを、なんと2000%も増加させることを示しています。いくつかのクルクミンサプリメントにピペリンが含まれているのはそのためです。しかしピペリンは、消化管に炎症や痛みを引き起こしてしまう人がいることでも知られています。また、ピペリンは毒素や薬物の体内除去の妨げになる可能性があり、肝臓に損傷を与えるリスクを増加するため、長期利用は有害になり得ます。
高品質のリポソームクルクミンサプリメントは、副作用なしにクルクミンの吸収を高めます。リポソーム技術は、より多くの栄養素を細胞に栄養させ、バイオアベイラビリティと吸収を向上させる、効果的な薬・栄養素の供給システムとして、急速に台頭してきています。
リポソームとは?
- リポソームとは、クルクミン、コエンザイムQ10、ビタミンB12、ビタミンCといった栄養素をカプセル化する、リン脂質でできた小さな球体。リポソームは薬の取扱いにも使用されている。
- リポソームサプリメントに包まれた栄養素は、消化管の過酷な要素にも耐えることができる。
- リポソーム技術により、栄養素は細胞に直接供給され、バイオアベイラビリティと吸収が向上する。
喫煙に関連するリスクを和らげるよう調整し、また喫煙者、禁煙者問わず、体全体の健康維持に役立ちます。もしあなたが愛煙家であれば、体が必要としている抗酸化サポートを与えるために、リポソームクルクミンサプリメントを使用できます。同時に、栄養サプリメントを摂取して非常に健康的な食生活を送っていても、また活発に運動を行なっているとしても、外部介入では喫煙によるシステム全体の損傷から守ることはできないと、しっかり理解しておくことが重要です。
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Health Effects of Cigarette Smoking. Centres for Disease Control and Prevention.
- Panahi et al. Mitigation of systemic oxidative stress by curcuminoids in osteoarthritis: Results of a randomized controlled trial. J. Diet. Suppl. 2016.
- Biswas et al. Curcumin protects DNA damage in a chronically arsenic-exposed population of West Bengal. Hum Exp Toxicol. 2010
- Panahi et al. Molecular mechanisms of curcumins suppressing effects on tumorigenesis, angiogenesis and metastasis, focusing on NF-κB pathway. Cytokine & Growth Factor Reviews. 2016.
- Shehzad A et al. Multifunctional Curcumin Mediate Multitherapeutic Effects. J Food Sci. 2017
- Meja et al. Curcumin restores corticosteroid function in monocytes exposed to oxidants by maintaining HDAC2. Am J Respir Cell Mol Biol. 2008
- Zhu et al. Curcumin and Vitamin E Protect against Adverse Effects of Benzo[a]pyrene in Lung Epithelial Cells. PloS One. 2014
- Sehgal et al. Combined effects of curcumin and piperine in ameliorating benzo(a)pyrene induced DNA damage. Food and Chemical Toxicology. 2011
- Shi Q et al. Inflammation and the chemical carcinogen benzo[a]pyrene: Partners in crime. Mutat Res. 2017
- Osch et al. Quantified relations between exposure to tobacco smoking and bladder cancer risk: a meta-analysis of 89 observational studies. International Journal of Epidemiology. 2016.
- Liang et al. Curcumin reversed chronic tobacco smoke exposure induced urocystic EMT and acquisition of cancer stem cells properties via Wnt/β-catenin. Cell Death Dis. 2017
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