CoQ10とスタチン (SQ-59)
スタチン剤は高コレステロールの治療薬として一般的に処方されており、冠状動脈性心疾患の主要なリスク因子であると考えられています。スタチン剤はコレステロールを下げるという目的については、非常に効果的です。しかし、長期間使用すると、スタチン剤使用者に深刻な副作用を与えることが知られています。
そして、一部の副作用は
CoQ10不足が原因です。
スタチン剤はどのようにCoQ10（そして他の説物活性分子）を枯渇させるでしょうか？
これはスタチン剤がコレステロール値を下げる働きがすべて影響しています。スタチンはメバロン酸経路を通ってコレステロール合成をする酵素である、HMG Co-Aレダクターゼの産生をブロックします。この複雑な酵素経路はコレステロールを産出するだけでなく、
ビタミンD、セレノタンパク質、ストレスホルモン、性ホルモンやユビキノンとも呼ばれるCoQ10などの重要な分子の合成を引き起こします。
コレステロール産出に影響する酵素を阻害することで、スタチンは、健康な体の機能に影響するさまざまな細胞プロセスを実行する、他の生物活性分子の産出も阻害してしまいます。このスタチンの働きは、あなたの体にさまざまな影響を与えます。
CoQ10とは？なぜ重要ですか？
CoQ10は体内で自然に産出されるビタミンのような物質で、すべての細胞に存在します。体内で2つの重要な機能を果たします：
- ミトコンドリアがエネルギー(ATP)を作る過程で必須な成分。
- 強力な抗酸化剤として機能し、DNA、タンパク質、脂質などの重要な細胞構造をフリーラジカルによる酸化ダメージから守ります。
あなたの細胞はこの仕事のために非常に大量のエネルギーを必要とします。これには再生、修復、解毒、病原菌や感染症との戦うことが含まれます。あなたの体にあるすべての細胞がそれらのエネルギーのためにCoQ10を必要としています。心臓や骨格筋などのエネルギー消費量が高い組織に豊富に存在します。そのため、CoQ10の数値が少し減少しただけで、筋肉や心臓に副作用を引き起こします。
筋肉機能におけるCoQ10数値低下の影響
スタチン剤を復唱する患者の多くは、筋肉痛、筋肉疲労、関節痛を訴えることがあります。JAMA Internal Medicine が2013年に発表した研究によると、これらの影響は、「
補酵素Q10合成、セレノプロテイン合成およびミトコンドリア呼吸鎖に対する抑制作用」[1]に原因があることが判明しました。
また、非常に多くの筋肉ダメージを受けた場合、ごく稀にですがスタチンは生命を脅かす横紋筋融解症状を引き起こします。この症状では、ダメージを受けた筋繊維がすぐに崩壊し、血液中にミオグロビン（タンパク質の一種）を放出します。ミオグロビンは腎臓にダメージを与え、腎不全さえも引き起こします。CoQ10サプリメント役に立つでしょうか？研究は、CoQ10サプリメントがミラルジア（筋肉痛）やスタチン使用に伴う経度から中度の筋肉症状を改善する可能性があることを示唆しています。[2][3]
心臓機能におけるCoQ10数値低下の影響
CoQ10は心臓の健康において非常に重要な役割を果たしています。あなたの心臓は体の中で一番エネルギーを消費する臓器で、効率的に仕事をするために、常に適切な数値のCoQ10を必要とします。心筋のCoQ10が長期間不足すると、最終的には十分な血液量を送り出すポンプ機能が弱まり障害を起こし、心不全を引き起こします。
さらに、CoQ10はLDLコレステロールの酸化を防ぐことで、健康な心臓をサポートします。LDL粒子が酸化すると、動脈の炎症、動脈の石灰化を引き起こし、心臓病および脳卒中の主な危険因子である動脈内のアテローム性動脈硬化またはプラーク形成を引き起こします。CoQ10不足が心臓に悪影響を与えることは明らかで、心不全、高血圧、内皮傷害、狭心症などの心臓病の原因となります。
2015年の研究は、この内容について重要な洞察を発表しました。「 スタチン群は、冠状動脈石灰化の原因となる可能性があり、ミトコンドリア毒素として機能し、CoQ10と「ヘムA」が不足すると、心臓や血管の筋肉機能に障害を与える可能性がある。」[4]
多くの研究結果が、CoQ10サプリメントが慢性心不全、狭心症、高血圧の治療に役立つ可能性を示しています。[5 -7] また、心臓発作のリスクを軽減させ[8]、心臓手術中に心臓を保護することも知られています。[9]
健康な心臓に必要な分子である、CoQ10の産出を妨げる処方薬の役割とは何だと思いますか？特にコレステロール値を下げることが、心臓病リスクを低減する確実な証拠がない場合はどうでしょうか？一方で、科学者たちは、多くの人々にとってスタチンは心臓発作のリスクを軽減しないと言及しています。実際、これらの薬はCoQ10以外の重要な分子の合成も阻害するため、記憶喪失、認知力の低下、糖尿病、白内障などの副作用を引き起こします。
専門家たちはコレステロールの役割、それが不足した再に発生する心臓発作や脳卒中の関係を解明するのに急がしいですが、スタチンに関連するリスクを軽減するために、高品質のCoQ10サプリメントを摂取することをお勧めします。
翻訳者: 千葉将臣
参考:
- Mansi et al. Statins and Musculoskeletal Conditions, Arthropathies, and Injuries. JAMA Internal Medicine. 2013;173(14):1318-1326. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6184.
- Caso G et al. Effect of coenzyme q10 on myopathic symptoms in patients treated with statins. American Journal of Cardiology. 2007 May 15;99(10):1409-12. Epub 2007 Apr 3.
- Skarlovnik et al. Coenzyme Q10 Supplementation Decreases Statin-Related Mild-to-Moderate Muscle Symptoms: A Randomized Clinical Study. Medical Science Monitor. 2014
- Okuyama et al. Statins stimulate atherosclerosis and heart failure: pharmacological mechanisms. Expert Rev Clin Pharmacol. 2015 Mar;8(2):189-99. doi: 10.1586/17512433.2015.1011125. Epub 2015 Feb 6. 3.
- Mortensen SA et al. The effect of coenzyme Q10 on morbidity and mortality in chronic heart failure: results from Q-SYMBIO: a randomized double-blind trial. JACC Heart Failure. 2014
- DiNicolantonio et al. Coenzyme Q10 for the treatment of heart failure: a review of the literature. Open Heart 2015.
- Rosenfeldt et al. Coenzyme Q10 in the treatment of hypertension: a meta-analysis of the clinical trials. Journal of Human Hypertension (2007)
- Singh et al. Effect of coenzyme Q10 on risk of atherosclerosis in patients with recent myocardial infarction. Molecular and Cellular Biochemistry. 2003
- Frutos et al. Prophylactic treatment with coenzyme Q10 in patients undergoing cardiac surgery: could an antioxidant reduce complications? A systematic review and meta-analysis. Interactive Cardiovascular and Thoracic Surgery. 2015
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