コエンザイムQ10はいかにしてエネルギーレベルを高めるのか? (SQ-97)
疲労、ストレス、エネルギー不足といった症状は、当然誰もが経験しています。飛ぶように過ぎていく生活、不健康な食生活、または慢性的なストレスなどが原因であるとしても、ボロボロに疲弊したままの生活は、私たちのほとんどが直面している真の健康問題です。エネルギーレベルを高めるためには何ができるでしょうか?
コエンザイムQ10の摂取量を増やすことが、いかにして生産性を高め、全体的な健康を維持するために必要なエネルギーを高めてくれるのかを今回はお伝えしたいと思います。
もちろん、ビタミンD、マグネシウム、カルシウムなどのレベルが低いなど、栄養不足が疲労を感じている理由であることも考えられます。または、甲状腺障害、線維筋痛症、心不全、その他の慢性症状などの可能性もあります。しかしそれらが当てはまらないなら、コエンザイムQ10レベルをチェックする時かもしれません。事実、健康なコエンザイムQ10レベルの維持は、あなたのエネルギーを大きく奪っているかもしれない、これらの慢性的な健康問題に役立つことができるのです。
コエンザイムQ10(CoQ10)とは?
コエンザイムQ10とは、体のほぼすべての細胞に存在しているビタミン様物質の一種です。これは、酵素を効率的に機能させるヘルパー分子、補酵素の一種であり、体内の生化学反応をスピードアップさせます。体内で行われる多くの役割の内、これから紹介する二つの役割が特に際立っています。
- コエンザイムQ10は、エネルギー作りにおいて非常に重要な役割を担っている
- コエンザイムQ10は注目すべき抗酸化物質で、細胞とそれらの損傷を受けやすい構造を酸化損傷から守る
ここでは、コエンザイムQ10がいかにしてエネルギー生産に役立つか、さらになぜコエンザイムQ10不足が、エネルギー生産の障害、ミトコンドリア機能不全、組織や器官に生じた酸化損傷の悪化につながり得るのかに焦点を当てていきたいと思います。言うまでもなくこれらすべての問題は、貧弱なエネルギーレベルや疲労だけではなく、さまざまな形で生活の質に影響を及ぼす可能性のある重大な慢性的問題となって現れます。
さらにコエンザイムQ10レベルを下げる要因や、コエンザイムQ10状態を改善するためには何ができるのかについても考えていきます。しかしまず初めに、この「至る所に存在する」補酵素の、エネルギー生産における役割についてお話します。
エネルギー生産におけるコエンザイムQ10の役割
組織や器官は、常に成長、繁殖、修復、廃棄物や毒素の除去に勤しむ細胞でできています。要するに、細胞は日々これらのタスクを行うために多くのエネルギーを必要としており、それによって組織や器官は正しく機能し、健康を維持できるのです。しかし、このエネルギーはどこからくるのでしょう?
細胞は(すべての細胞内に存在する小さな二重膜構造の)ミトコンドリアの助けをかりて、独自にこのエネルギーを作っています。この理由から、ミトコンドリアは細胞の原動力とも呼ばれます。すべての器官は多くのミトコンドリアを有していますが、より多くのエネルギーを必要としている器官には、細胞の中に大量の小さな細胞小器官を有しており、必要な量のエネルギーを作り出す手助けをします。心臓、筋肉、肝臓、腎臓はとても忙しい器官のため、他の器官と比べて相当な数のミトコンドリアを有しています。
実は、これらミトコンドリアにはユニークな点があります。細胞のエネルギー需要が増加すると、素早く分裂・増殖することができるのです。これは必要に応じて、大量のエネルギーによって細胞を強化するのに役立ちます。例えば繰り返し運動をしている筋肉は、エネルギー需要の増加に対応するためミトコンドリアの生産を増加させます。では、この流れでコエンザイムQ10はどのように調和するのでしょうか?まずは基本的なところからスタートし、体がエネルギーを作る精巧なプロセスへと徐々に向かっていきましょう。
あなたは、脂肪、タンパク質、炭水化物から成る食品を摂取します。ここで、体はこれらの栄養素から得たエネルギーを最終的に細胞が使用できる形へと変換する必要があります。
それは、ミトコンドリアが酸素と共にこれらの栄養素を分解するところから始まります。このすべてのプロセスは、最終的にはアデノシン三リン酸(ATP)分子(細胞が使うことのできるエネルギー通貨)の生産へとつながる、精巧で有機的、しかし非常に複雑な一連の反応から構成されています。
複雑なプロセスであることは間違いありませんが、手短に説明してみましょう。ミトコンドリア内で起こる脂肪酸と炭水化物の酸化は電子を放出し、電子は電子受容体へと運ばれなければなりません。電子がミトコンドリア膜を越えて運ばれている最中に生産されたエネルギーは、最終的にATP分子の生産に使用されます。
体はこのプロセスに関与するすべての栄養素を必要としています。ビタミンB群、L-カルニチン、ビタミンK、マグネシウムは、エネルギー合成に関わる主要な成分です。そしてこのチームにおいて、コエンザイムQ10はとても重要な役割を担っています。事実、このプロセスにおけるコエンザイムQ10の唯一無二の役割に取って代わる分子は存在しません。コエンザイムQ10は、グルコース(ブドウ糖)と脂肪酸の酸化中に集められた電子を受容し、電子伝達系の電子受容体にそれを渡します。この伝達系の反応は、多くの酵素および補酵素の助けを借りて行われます。
深刻なコエンザイムQ10不足に陥ると、細胞が十分な量のエネルギーを生産できなくなることを意味するのは明らかです。コエンザイムQ10は抗酸化物質としても機能しますので、レベルが低いと細胞レベルでの低エネルギーを意味し、酸化損傷と炎症を増加させます。ほとんどの慢性疾患はこれらの要因によって起こります。
コエンザイムQ10とミトコンドリアの健康
健康なミトコンドリアと健康なエネルギー生産が等しいことは明らかですね。しかしミトコンドリアの健康にとって、コエンザイムQ10は具体的にどんな意味があるのでしょう?
どういうことかと言うと、ミトコンドリア内で行われるエネルギー合成プロセスは、フリーラジカルの生成ももたらすのです。これらは不対電子を有する分子で、したがって不安定であるため、安定化のために常に余分な電子を探しています。体にフリーラジカルを放出するプロセスは、内部および外部共に多くあります。免疫反応、質の悪い食生活、感染症、病気、急性ストレス、薬や抗生物質の使用、喫煙、飲酒、毒素への慢性的な暴露は、フリーラジカルの生成を増加させる要因です。
フリーラジカルは細胞と細胞組織を損傷させ、それには細胞膜、タンパク質、酵素、DNA、そしてもちろんミトコンドリアも含まれます。これらの構造体から電子を盗むことで、フリーラジカルは酸化損傷または酸化ストレスを引き起こします。そして、器官の機能障害、慢性炎症、早期老化、さらに関節炎、線維筋痛症、心臓疾患、白内障、加齢性黄斑変性、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、ガンなどといった形で、慢性疾患を発症させることになります。また、酸化損傷は男性と女性両方に対して不妊症を引き起こすこともあります。
ミトコンドリアに話を戻しましょう。これらの小さく脆弱な器官は、フリーラジカルを生成するエネルギー生産の中心に存在するため、酸化損傷を非常に受けやすいのです。そして、コエンザイムQ10やその他の栄養素のレベルが既に低い場合は、エネルギー合成が被害を受けます。これによってフリーラジカルがさらに生成され、ミトコンドリアの健康をさらに悪化させます。
さて、コエンザイムQ10が細胞のエネルギーを作り出すのに不可欠な仲介者であることは分かりました。しかしコエンザイムQ10は抗酸化物質でもあり、電子をフリーラジカルに提供することもできるのです。したがって、フリーラジカルと戦い、それによって細胞とミトコンドリアへの酸化損傷を軽減する役割は、どちらも等しく重要なのです。
体のコエンザイムQ10レベル低下はどのようにして起こるのか?
細胞はコエンザイムQ10を独自に作りますが、20代になるとレベルが下がり始めます。そして、コエンザイムQ10が豊富に含まれていない食品を食生活に取り入れない場合、40代後半にはコエンザイムQ10不足になる可能性が高いでしょう。内臓肉や魚はコエンザイムQ10が豊富に含まれています。年齢の他にも、多くの要因がこの重要な抗酸化物質不足になるリスクを増加させます。
- コエンザイムQ10を含まない健康的な食生活の欠如
- 栄養不足。例:細胞によるコエンザイムQ10の内部合成に必要な、ビタミンB群および微量ミネラル不足
- 酸化損傷と結果として起こる炎症を制限するため、体がより多くのコエンザイムQ10を必要とする状態。それによりレベルが枯渇する。全身性炎症、長引く感染症および疾患、環境毒素への長期の暴露、ストレス、β(ベータ)遮断薬、抗生物質、スタチンなどの長期使用は、体がさらなる抗酸化サポートを必要とし、コエンザイムQ10、グルタチオン、その他の抗酸化物質といった、存在するリソースを迅速に使用する数少ない状況である。
- 抗うつ剤の使用はコエンザイムQ10レベルを低下させることで知られている。
コエンザイムQ10のエネルギー向上効果
運動性能と疲労:コエンザイムQ10は、エネルギーレベルを向上させる一方、運動性能を高め、疲労を緩和させることが分かっています。これは、エネルギー合成におけるその直接的な役割によるものです。
偏頭痛: コエンザイムQ10は、偏頭痛に効果があることが分かっています。偏頭痛の正確な原因は明らかになっていませんが、ミトコンドリアの機能不全と、脳のエネルギー生産障害にその原因があるかもしれないという証拠が存在しています。複数の研究は、偏頭痛が頻繁に起こる人は、体のコエンザイムQ10レベルが低いことが多くあることを示しています。ミトコンドリアの機能を維持し、エネルギーを作るその能力によって、コエンザイムQ10サプリメントの摂取はこの健康問題に有効な可能性があります。カナダ頭痛学会(The Canadian Headache Society)はコエンザイムQ10を、偏頭痛予防に効果のある物質11の中の一つに入れています。
不妊症:卵成熟のプロセスと胚発育は、多くの細胞分裂を伴い、大量のエネルギーを要します。また、受精のために精子が卵子にたどり着くのにもエネルギーを必要とします。年齢と共に卵細胞のミトコンドリア内のエネルギー生産は減少します。また、酸化損傷も増加します。細酸化損傷を伴う細胞エネルギーの低下は、(特に高齢の)女性の卵の質を落とします。脳細胞や筋細胞といった大きなエネルギーを必要とする細胞には、大量のミトコンドリアが含まれていることはご存知の通りです。しかし体の最大の細胞であるヒトの卵細胞は、エネルギーを要する細胞の10~100倍のミトコンドリアを有しています。これは卵細胞を活性化してその機能を果たすためです。
スタチンを使用している人に:コレステロールレベルの高い人には、スタチンが処方されることがよくあります。これらの薬は、肝臓内においてコレステロールの生成に関わる酵素の機能をブロックすることでコレステロールレベルを下げます。しかしこの酵素は体内におけるその他数多くの重要な分子の生成に関わっています。
コエンザイムQ10はその内の一つです。そしてATP合成に欠かせない成分として、コエンザイムQ10の生成障害は、骨格筋、心筋および血管における筋肉機能不全として見ることができます。スタチンを長期間使用していると、筋疲労、筋肉痛、さらには関節痛をもたらすことがあります。コエンザイムQ10サプリメントの摂取は、これらの症状を改善することができます。
コエンザイムQ10は以下に有効であることが分かっている:
- エネルギー不足の心筋が、十分な血液を器官に送れない状態である、うっ血性心不全を患っている人の症状を改善する。 [1]
- 心不全を患っている人の予期せぬ入院や緊急移植などのリスクを軽減。
- スタチンを使用している2型糖尿病患者の内皮機能を改善
- 糖尿病前症および2型糖尿病 [2] [3]
- 歯周(歯肉)疾患 [4]
- 線維筋痛症
コエンザイムQ10が心臓の健康にとってどんな意味を持つのかお分かりいただけるかと思います。心臓は体内で最も忙しい器官の一つであるため(日夜休みなく鼓動を刻み続けなければなりません)、そのエネルギー所要量は非常に高いのです。心臓が他の器官と比べて、非常に多くのミトコンドリアとコエンザイムQ10を有しているのはこのためです。コエンザイムQ10のレベルが低いと、特に心臓にとって大問題になります。複数の研究で、心不全の症状を持つ人はコエンザイムQ10レベルが低いことが分かりました。 [5]
コエンザイムQ10はあらゆる面であなたを健康に保ちます。したがって、食事やサプリメントを介して健康なレベルを維持することは重要です。私たちは、リポソームコエンザイムQ10サプリメントをコエンザイムQ10含有量が高い食品と一緒に摂取することをお薦めします。リポソームコエンザイムQ10サプリメントは、細胞に届くコエンザイムQ10の量を向上させるので、より効果的です。
従来のサプリメントは、消化管の過酷で不都合な環境で分解してしまいます。ほとんどの栄養素は消化中に無駄になってしまい、ごく少量のみしか組織に到達することができません。
しかしリポソーム技術は、リポソームと呼ばれる小さな泡を使用しており、それらは希望の栄養素で満たされています。リポソームは、内包された栄養素(この場合コエンザイムQ10)を安全に目的地まで運ぶ、真に優れた構造で、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)と吸収を増加させます。
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Mortensen SA et al. The effect of coenzyme Q10 on morbidity and mortality in chronic heart failure: results from Q-SYMBIO: a randomized double-blind trial. JACC Heart Fail. 2014
- Mohammadi et al. The effect of coenzyme Q10 supplementation on metabolic status of type 2 diabetic patients. Gastroenterol Dietol. 2013
- Raygan et al. The effects of coenzyme Q10 administration on glucose homeostasis parameters, lipid profiles, biomarkers of inflammation and oxidative stress in patients with metabolic syndrome. European Journal of Nutrition. 2015
- S Prakash et al. Role of coenzyme Q(10) as an antioxidant and bioenergizer in periodontal diseases. Indian J Pharmacol. 2010
- A Sharma et al. Coenzyme Q10 and Heart Failure. A State-of-the-Art Review. Circulation. Heart Failure. 2016.
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