体内のグルタチオンを枯渇させるものは何か?なぜグルタチオンは必要なのか? (SQ-99)
体は日々素晴らしい仕事をこなしています。細胞や組織に酸化損傷を引き起こすフリーラジカルを破壊し、老廃物や毒素を除去し、さらに免疫系に病気や感染症を撃退させる準備を施します。
これらの重要な機能を果たすために、ビタミンD、マグネシウム、コエンザイムQ10、鉄分、ビタミンC、亜鉛、セレン、ビタミンK1およびK2といった、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、酵素、すべての兵隊が必要になります。このリストはまだまだ続きます。これらの微量栄養素は抗酸化物質(フリーラジカルスカベンジャー)、解毒物質(重金属および化学物質、薬、その他汚染物質の残留毒素除去)、および免疫調節として機能します。
グルタチオンは細胞が独自に作り出す抗酸化物質です。3つのアミノ酸から構成されているグルタチオンは、活性酸素種を退治する、最も重要な唯一無二の内因性抗酸化物質です。
体がグルタチオン不足になったら何が起こるのでしょうか?そして、このマスター抗酸化物質を体から枯渇させる状態とはなんでしょうか?詳しく見ていきましょう。
何がグルタチオンを枯渇させるのか?
多くの重要な機能のためにグルタチオンは必要です。したがって、これらのプロセス中にグルタチオンの一部は使い尽くされてしまいます。
1. マスター抗酸化物質として機能する
グルタチオンは体内で作られる最も強力な抗酸化物質の一つです。これは細胞を酸化損傷から保護し、ビタミンC、ビタミンE、αリポ酸といったその他の抗酸化物質をリサイクルする手助けをします。グルタチオンが特別に役立つ理由、それは細胞内で作られるためです。したがって、グルタチオンは酸化損傷に対する防御の最前線となります。「マスター抗酸化物質」、「すべての抗酸化物質の母」などと呼ばれているのも納得できますね。
2. 免疫力を向上させる
免疫細胞、特に白血球は、正常に機能するためにグルタチオンを必要としています。T細胞は病原体の存在を察知すると活性化されます。T細胞が成長し、先制攻撃を行うためにさらなるエネルギーを必要とするのは、まさにこの瞬間です。
ここでグルタチオンが役に立ちます。活性化したT細胞の増加するエネルギー所要量をサポートします。グルタチオンがなくてもT細胞は活性しますが、病原体に対して必要な反応を刺激するエネルギーに欠けています。さらに、免疫反応はフリーラジカルと代謝老廃物の痕跡を残します。これらは副生物として細胞毒性および損傷を引き起こすことがあります。グルタチオンはこれらの有害副生物の除去に役立ち、免疫細胞の健康を維持します。
3. デトックスに必要
体は毒素やその他老廃物の除去に非常に優れています。そして肝臓はこのデトックスシステムの中心地です(これには肌、肺、腸、腎臓も含まれます)。
肝臓がすべての毒素、重金属、フリーラジカル、化学物質を除去する上で、このマスター抗酸化物質は素晴らしく、欠かすことのできない役割を担っています。したがって、肝臓に高レベルのグルタチオンが詰まっていることも驚くに値しません。グルタチオンが毒素にくっつき、それらを水溶性に変えてしまえば、体はとても楽に毒素の排除をすることができます。
グルタチオンは、フリーラジカルによって引き起こされる酸化損傷から肝臓を保護します。フリーラジカルは最初のデトックス段階において自然に生成されます。もちろん、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、セレンといったその他の抗酸化物質もこれらの段階に関与しています。
4. DNA修復に必要
強力な抗酸化物質として、グルタチオンは細胞分裂中に負う酸化損傷から細胞DNAを保護します。ある調査では、グルタチオンは放射線被曝からも保護できることが示されています。これは紫外線やその他の形の放射能によって引き起こされるDNA損傷を予防するだけでなく、DNA修復においても重要な役割を果たします。
グルタチオンを枯渇させるその他の要因
グルタチオンを消耗させるその他を要因はなんでしょうか。それらのほとんどは外部または環境的要因によるもので、大量のフリーラジカルを生成したり、毒素や重金属を細胞や組織の中に蓄積させます。これによって脳、心臓、腎臓、神経系、内分泌系を含むさまざまな器官系に深刻な損傷を与えます。これによって、フリーラジカルの破壊およびデトックスのためにグルタチオンがさらに必要になります。
- 抗生物質および薬の過剰摂取
- 農薬、重金属、防腐剤、添加物、喫煙、合成食品着色料、家庭用化学薬品、電離放射線、その他の汚染物質といった、有害物質への慢性的な暴露
- 大量の喫煙および飲酒、薬物摂取
- ストレス、不安、うつ病
- 慢性疾患および感染症
- 体のグルタチオン生成およびプロセスに役立つ生鮮食品に欠けた不健康な食生活
- 特に夜間における光への過度な暴露。光害はメラトニンの合成に干渉する。これは使い尽くしたグルタチオンを再装填するホルモンで、これによりグルタチオンは引き続きその役割を果たすことができる。
- マグネシウム不足
- 過激な運動
さて、これらほとんどの要因が、大量のフリーラジカルを生成することによって体にストレスを与えることは理解しました。この状況でフリーラジカルを中和し、酸化損傷を抑えるために、体は蓄えた抗酸化物質(グルタチオン、マグネシウム、ビタミンC、コエンザイムQ10、その他多くのビタミンおよびミネラル、強力な酵素)を当てにします。
さらに肝臓は、体が絶えず曝されている毒素、重金属、その他の有害な化学物質を除去するために、余計に働かなければなりません。すべてのデトックス段階において非常に重要な役割を担っているグルタチオンはかなりの量になり、需要が供給を上回ります。
老齢、マグネシウム不足、栄養不足といったその他の要因や、これらの要因がどのようにグルタチオン状態に影響を与えるのかについて、もう少し詳しく見てみましょう。
グルタチオンレベルの低い重要な理由の一つは年齢である
若い時、グルタチオンは健康なレベルにあります。しかしそのレベルは加齢に伴って衰え始め、病気にかかりやすくなります。70代や80代になると、グルタチオンを合成する能力は約50%ほどしか残っていません。
不健康な食生活はあらゆる形でグルタチオンレベルを下げる
健康で活気ある体になるには、健康的な食生活が必要です。食生活は、体が正しく機能し、ストレス、感染症、疾患と戦うために必要なエネルギー、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質を与えます。
いくつかの食事には生鮮食品が含まれており、これがグルタチオンを作ります。グルタチオンはシステイン、グリシン、グルタミン、3つの単純アミノ酸から構成されています。新鮮な野菜、果物、ハーブ、ナッツ、香辛料といったほとんどの自然食品には、グルタチオンが豊富に含まれています。これらの内いくつかは、体がグルタチオンを自然生成するのに必要な前駆体を含んでいます。これらのいくつかを見てみましょう。
- 乳清タンパク質は非変性で、牧草飼育牛から得ることができる。購入する乳清タンパク質が低温処理されており、無ホルモン・無農薬であることを確認するのが重要。
- ブラジルナッツおよびくるみ
- 卵、魚、肉
- 新鮮な野菜および果物
- 玉ねぎ、にんにく、リーキ(ニラネギ)、アブラナ科の野菜、ケール、コラード、マスタードグリーン、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、大根など、硫黄が豊富に含まれている食品
- N-アセチルシステイン、αリポ酸、マリアアザミ(ミルクシスル)などのサプリメント
- いくつかの栄養素はグルタチオンの生成およびリサイクルにおける余因子として機能する。例:マグネシウム、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンB6、ビオチン、亜鉛、セレン、ビタミンC、ビタミンE
慢性疾患または感染症への罹患は、低グルタチオンレベルを示す
慢性疾患を患っている人に共通することが一つあります。彼らは皆グルタチオン不足であるということです。HIV/エイズ、糖尿病、喘息、ガン、自閉症、線維筋痛症、自己免疫疾患、慢性腎臓疾患、心臓疾患、長引く感染症、慢性疲労、関節炎、アルツハイマー病などを患っている人は、このマスター抗酸化物質が深刻に枯渇していることを複数の研究は示しています。
2018年にPLOS(公共科学図書館)で発表されたとある研究は、以下のように結論しています。「非糖尿病患者と比較して、2型糖尿病患者は、特に細小血管合併症を患っている場合、グルタチオンが不足している。」 [1]
大きな話題となったこの2018年の研究において研究者は、アルツハイマー病患者はグルタチオンが深刻に枯渇していることを発見しました。 [2] サイエンス・デイリーは以下のように報告しています。「高齢者の海馬領域においてグルタチオンが枯渇すると、健康な脳は軽度認知障害を患うことが発見された。これはアルツハイマー病の初期段階に存在する。これは、アルツハイマー病患者において閉じた形態のグルタチオンが枯渇しているのと関連している。」 [3]
また、慢性的なうつ病、不安、双極性障害、その他の精神疾患を持つ患者においてもレベルが低いことが分かっています。そして、手術、怪我、火傷、またはその他の種類の身体的外傷など、他の非慢性症状も蓄えられているグルタチオンを消耗させます。
なぜでしょうか?グルタチオンは体の抗酸化防御系における主要な部分を占めています。そして慢性疾患や感染症を患うと、体は極度のストレスを経験します。その際フリーラジカルが大量に生成されます。酸化損傷から細胞や組織を保護し、デトックスするために強力な抗酸化物質の支援が必要なことは明かです。体がより多くのグルタチオンや、言うまでもなく、その他の抗酸化物質を使用することになる理由はここにあります。
マグネシウム不足はグルタチオン不足になる大きな要因である
マグネシウムは、何百もの酵素反応において不可欠な余因子として機能する重要なミネラルです。細胞エネルギー、タンパク質、DNAを生成するためにマグネシウムは必要になります。また、不活性・貯蔵型ビタミンDを、細胞が使用できるよう活性型に変換するためにも必要となります。ビタミンD代謝に関与するほとんどすべての酵素に、余因子としてマグネシウムが必要となります。これはすなわち、体が日光暴露を介して作ったり、ビタミンDサプリメントから得たビタミンDは、十分なマグネシウムなしでは利用されないまま残ってしまうことを意味します。 [4]
細胞カルシウムレベルの維持におけるマグネシウムの役割はよく知られています。マグネシウムは、カルシウムの細胞スペース内外への移動を調節し、これによって細胞、組織、血管内への不要なカルシウム蓄積を予防します。これらは異常な筋収縮、アテローム性動脈硬化症、腎臓結石、便秘などにつながることがあります。また、マグネシウムは神経系の健康にも必要で、複数の研究は、うつ病、不安、偏頭痛、不眠症、高いストレスなどにおけるマグネシウムの効果を確認しています。また、マグネシウムは心臓の健康にとって最高のサプリメントの一つとされています(コエンザイムQ10も同様)。
あまり知られていないことと言えば、マグネシウムがデトックスにも積極的に関与していることでしょう。デトックス中に細胞は大量のエネルギーを必要とし、マグネシウムはここで役立ちます。また、水銀、アルミニウム、カドミウム、カドミウムといった重金属の除去にも役立ちます。毒素や重金属の蓄積は、複数の健康問題を引き起こすことがあり、特に神経系の健康に有害になります。
低マグネシウムレベルとグルタチオン不足の関係に戻りましょう。マグネシウムはグルタチオン合成においても重要な余因子として機能します。より正確に言えば、マグネシウムはガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)と呼ばれる酵素が正しく機能する手助けをします。GGTはグルタチオンの生成と密接に関わっています。
したがって、マグネシウムが不足すると低グルタチオンレベルに苦しむだけでなく、痛みを伴う筋けいれん、腰痛、関節痛、関節痛、便秘、偏頭痛、エネルギーレベルの低下、疲労、不安、うつ病、睡眠不足、そして女性は月経前症候群などの症状も経験する可能性があります。
さまざまな役割を持つこの素晴らしいミネラルを最適なレベルに維持するため、マグネシウムが豊富な食品(ナッツ、種、緑葉野菜)を食生活に取り込み、高品質のマグネシウムサプリメントの摂取を開始するのもよいでしょう。
グルタチオン不良状態と健康
グルタチオンレベルが慢性的に低いと、多くの大切なプロセスが被害を受け、早期老化、炎症、多くの疾患リスクの増加へとつながります。グルタチオン不足は以下を引き起こします。
- フリーラジカルを破壊する能力の低下。実質、細胞は相当な酸化損傷にさらされ、炎症や破壊を引き起こす。
- 老廃物や毒素を効率的に排除できなくなる。これは肝機能不全につながり、毒素、重金属、有害な化学物質が組織に蓄積される。これはホルモンの不均衡、偏頭痛、エネルギーの低下、不妊症、神経変性障害、アレルギー、ガンなどを引き起こすことがある。
- 体が日和見感染やその他の疾患になりやすくなる、免疫障害。
グルタチオン不足は、自己免疫疾患、ガン、糖尿病、肺障害、関節炎など多くの症状の発症リスクを向上させます。グルタチオンレベルは、「健康な加齢、神経変性障害、精神疾患 の重要な指針になる」と考えられています。 [1]
要するに、デトックスし、酸化損傷と戦い、健康に歳を重ね、多くの病気リスクを予防するために、健康なグルタチオンレベルを維持しなければならないのです。
いかにしてグルタチオンレベルを向上させるか?
体独自にグルタチオン供給をする手助けになる食品の種類や、栄養補助食品については既にお伝えしてきました。
健康な食生活の他に、生活習慣を変えることも役に立ちます。適度な運動を定期的に行い、ストレスレベルを下げ、健康な睡眠パターンを維持すべきです。
グルタチオンサプリメントの摂取はどうでしょうか?
他のグルタチオンに関連したブログ記事内でも言及した通り、リポソームグルタチオンサプリメントでレベルを一気に高めることができます。リポソーム技術を使っていない従来の経口サプリメントでは望ましい結果がでなかったとして、専門家たちがそれらを取り上げることは通常ありません。非リポソームサプリメントは、消化中の厳しい酸性環境で分解してしまいます。したがって、大量の栄養素が無駄となり、細胞や組織へ到達することができず、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)不良、吸収不良などをもたらします。
リポソームグルタチオンサプリメントは、リポソームと呼ばれるユニークな二層構造を持つ小さな球体を利用しており、中は栄養素(この場合グルタチオン)で満たされています。リポソームは包まれた栄養素を安全に細胞へ輸送し、有用物質の劣化を防ぎ、無傷のままで目的地に届きます。
日々の生活の中には、グルタチオンやその他の抗酸化物質を定期的に消耗させる多くの要因が潜んでおり、フリーラジカルの破壊、デトックス、病気と闘うなど、体が持つ自然能力を制限してしまいます。これら要因の多くは回避できません。しかし、結果として生じるすべてのストレスや混乱に、体が対処する手助けをすることはできるのです。リポソームグルタチオンサプリメントの摂取は、損失したレベルの補充には効果的な方法ですので、健康な生活を満喫し、健康的に歳を重ねることができるでしょう。
翻訳者: 渡辺秀平
参照:
- Lutchmansing et al. Glutathione metabolism in type 2 diabetes and its relationship with microvascular complications and glycemia. PLOS. 2018.
- Shukla et al. A Multi-Center Study on Human Brain Glutathione Conformation using Magnetic Resonance Spectroscopy. Journal of Alzheimer's Disease, 2018
- IOS Press. "A new study indicates the possibility to monitor the progression of Alzheimer's disease by monitoring major brain antioxidant levels using noninvasive techniques." ScienceDaily. ScienceDaily, 12 October 2018
- Uwitonze et al. Role of Magnesium in Vitamin D Activation and Function. The Journal of the American Osteopathic Association. 2018
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